1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640540
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
小林 祥一 岡山理科大学, 教養部, 講師 (20109739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正路 徹也 東京大学, 工学部, 教授 (40011093)
坂本 尚史 岡山理科大学, 教養部, 教授 (60098580)
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Keywords | 溶解度 / 電気伝導度 / 高温高圧容器 |
Research Abstract |
熱水溶液に対する鉱物の溶解度は、鉱物や鉱床に関する研究及び資源開発などで重要な地球化学的データとなる。電気伝導度(電導度)が電解質溶液の濃度や温度に対して敏感に変化することを利用した、新しいタイプの溶解度測定装置をすでに試作したが、この装置は140℃までが測定限界で、天然の条件に幅広く対応できない。その原因は圧力漏れであった。そこで今回は、従来の装置に関して次の点の改良を試みた。 1.2本の電導度測定用電極を別々に挿入し、これらの絶縁やシールのためのテフロン製パッキンが実験中に加熱されないように電極の保護管を長くした。 2.反応容器をテフロンからAu製にし、テフロンの熱変形による圧力漏れの原因を取り除いた。 3.Au製の容器と蓋との間のパッキンは、従来のOリングのほかテフロン、Auなども検討したが、総合的にIrが優れたいた。ただしIrは表面加工が難しいことから、0.5mm厚のテフロンを被覆し用いた。 4.熱電対は、従来Ptシースの熱電対を直接蓋に取り付けていたが、蓋のTiとの間の硬度差が原因で気密性に問題があったため、テフロンで被覆したTi製保護管を蓋に取り付けそこに熱電対を挿入した。 装置のテスト段階で、蒸気圧曲線上で利用する高温高圧容器の圧力漏れをチェックする手段として、電導度が非常に有効であるという新たな知見を得た。これは蒸気圧曲線上でもし圧力が漏れると、電極などの凸部に泡が発生し、モニターしている電導度が不安定になるからである。これはまた電導度の僅かな変化を利用する溶解度測定装置では、それだけの気密性が要求されることを意味した。今回の試行錯誤による研究で製作した装置は、試作装置に比べ約50℃高い190℃までほぼ安定な電導度が測定できることになった。今後、より完成度の高い溶解度測定装置に仕上げると共に、実際の熱水系で利用できる種々データを得たい。
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