1993 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解原子共鳴蛍光法による室温気相における遷移金属原子の反応性の研究
Project/Area Number |
05640569
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 洋一 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (00167248)
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Keywords | 遷移金属原子 / モリブデン原子 / 遷移金属カルボニル / 時間分解原子共鳴蛍光法 / 時間分解発光分光法 / パルス紫外多光子分解 / 気相反応素過程 / 光子計数法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、気相に存在する微量の中性遷移金属原子を定量的かつ時間分解で検出する実験手法を開発するとともに、それを用いて″裸″の中性遷移金属原子と簡単な分子との反応を調べ、これまで実験的にあまり知られていなかったd(f)軌道(HOMOやLUMO)と物質との相互作用に関する知見を得ることであった。まず、時間分解原子共鳴蛍光測定システム(モニター光源にはホローカソードランプ、蛍光検出器にはプリアンプ内蔵型ゲート回路付き光電子増倍管、フォトンカウンター、および信号処理系)を製作し、基底状態中性モリブデン原子(Mo(a^7S_3))の検出を試みた。Mo(a^7S_3)は、Nd:YAGレーザー(照射波長は355nm[3倍波]および266nm[4倍波、倍波結晶KD^*Pを消耗品として購入した])を照射パルス光源として、Mo(CO)_6の気相紫外多光子分解により生成した。313.3,317.0および320.9nmにおいてz^7P_<4,3,2>←a^7S_3の、379.8,386.4および390.3nmにおいてy^7P_<4,3,2>←a^7S_3の共鳴蛍光が数100μsの時間領域で観測された。光子計測のゲート幅は5μsで、積算回数は600で行なった。これにより、Mo(a^7S_3)の時間分解検出が可能であることがわかった。次に、Mo原子とO_2分子の反応を調べるために、この系にO_2を添加したところ、Mo(a^7S_3)の生成量が検出限界以下になり反応性を調べることができなくなった。そこで、紫外可視領域の時間分解発光分光法(光電子増倍管[Hamamatsu R928、消耗品として購入]からの出力信号電流を高速プリアンプ[JUDSON PA-070A、設備備品として購入]]で増幅し、デジタルオシロスコープ[Tektronix TDS320、設備備品として購入]で記録)を用いて、Mo(CO)_6の紫外多光子分解過程を調べた。その結果、モリブデン原子の生成に多光子イオン化-中和過程が大きく関与していることが分かった。O_2の添加は中和過程を妨げるので、Mo原子の生成量が減少したと考えられる。今後は、多光子分解過程も調べながら、″孤立した″遷移金属原子の反応性を調べていきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mizuta,K.: "Quenching Rate Constants of Excited Halogen Atoms in Quartet States" J.Chem.Phys.(in press).
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[Publications] Jyo-o,M.: "Coordination of Some Simple Molecules onto W(CO)5 in the Gas Phase" Bull.Chem.Soc.Jpn.66. 3618-3626 (1993)