1993 Fiscal Year Annual Research Report
個体脂肪族カルボニル分子の電子スペクトルと電子-フォノン相互作用
Project/Area Number |
05640573
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小柳 元彦 九州大学, 理学部, 助手 (00037201)
|
Keywords | 芳香族カルボニル / 電子-フォノン相互作用 / 極低温光反応 / ベンジルラジカル / ラジカル反応 |
Research Abstract |
先ず、極低温実験用の石英デュワー類やそれに付随する光学系を整備し、ついでその中で個体試料を動かせるようなセルボックスを試作した。次いで、アセトン結晶について実験を試みた。結果は当初の予想通り、ラジカル生成による試料劣化の効果は明確になり、スペクトルの改良化がみられた。しかし、実際に仕事をまとめるためには、つぎのような点の改良が必要であることが分かった。(1)試料セル謡動、(2)ヘリュームのバブルや温度ゆらぎ、(3)セルの大きさの制限、など。(1)と(2)は検出系のS/Mの改良の問題であり、(3)は測定できるスペクトルバンド域の問題である。(1)と(2)はPSDの採用や温度を超流動域になることを計画したが、後者は気密を要するので、外からの動作が不能であり、今は(2)の問題は犠牲にして、(1)に力をそそいでいる。(3)も改良化をはかっているが、これは限度があるので、スポットを絞り、代わりに感度を上げてるなどの技術的な工夫が必要である。 ラジカル反応による試料の劣化とスペクトルの変容という意味で類似の問題をもつトルエンからベンジルラジカルと水素原子への解離反応にともなうフリーなベンジルラジカルとラジカル対になった系の複雑なスペクトル測定に成功した。これは反応が一部閉じているので、個体反応系としてはかなり明確なラジカル対反応変化を捉えることが可能である。この方面からのアプローチもしている。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] K.Uejoh: "Mechanism of the benzyl radical formation from toluene in rigid matrices at low temperature" Mem.Fac.Sci.,Kyushu Univ.,Ser.C,. 19. 7-14 (1993)