1993 Fiscal Year Annual Research Report
イオンセンサーの動的応答を基礎とする高速フロー分析法の開発
Project/Area Number |
05640681
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
原 博一 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (50142287)
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Keywords | 流液分析法 / イオン選択性電極 / 塩化物イオン / 硝酸イオン / ISFET / 高速分析法 / 電位差分析法 |
Research Abstract |
本年度においては、まず、塩化物イオンセンサーを用いた高速電位差分析システムの基本的構成を完成した。本システムでは、高流量(約140ml/min)を得ることが可能なローラーポンプを用いて試料溶液および標準溶液を高速で、センサー表面に吹き付けながら10msに一回ずつ電位差を測定する。10msにおける電位差の変化が約0.5mV以内になった回数が10回をこえたら電位が安定したとみなして、電磁弁の開閉により溶液を交互に切り替える。塩化物イオンセンサーでは、10^<-2>Mから10^<-5>Mの濃度範囲で、1試料当たり約1.2-1.3秒で分析可能であることがわかった。1試料の10回繰返し測定時の再現性(変動係数)は2%以下であった。本法を各種飲料中の塩化物イオンの高速定量に応用した。次に、イオンセンサーとして電界効果型トランジスター(ISFET)を用いるため、その基礎検討を行なった。ISFETをベースとして各種のイオンセンサーの開発研究が行なわれているが、硝酸イオンについては雨水等の測定に用いることのできる程、高感度で高い選択性をもつものはまだ開発されていないようである。そこで本研究においてはまず高感度、高選択性の硝酸ISFETの開発研究を行なった。当研究室においては、常温で固体であるが加熱すると液体となる有機物質を感応膜保持体とするいわゆる固体溶媒膜型電極の開発研究の実績があり、硝酸ISFETの開発にもこの方法を応用した。イオン交換体としてバソクプロイン銅(I)硝酸塩を用いると、1x10^<-6>Mまで測定可能であることがわかった。また、実試料への応用にあたり最も問題となる塩化物イオンに対する選択係数の対数値は約-2.0となり、かなり選択性の高い硝酸イオンセンサーの開発に成功した。次年度は、このセンサーの高速電位差分析法への応用を行なう予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hara H.et al: "High speed potentiometric analyzer equipped with an ion-selective electrode detector" Analytica Chimica Acta. 281. 45-51 (1993)
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[Publications] Hara H,et al: "Nitrate ion-sensitive field effect transister based on bis(bathocuproin)-copper(I) nitrate dissolved in solid solvents" Analytica Chimica Acta. (1993)