1993 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢菌属細菌に潜在するフラジェラ・レギュロンの分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
05640694
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
榎本 雅敏 岡山大学, 理学部, 教授 (40000236)
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Keywords | 赤痢菌4亜群細菌 / 潜在性フラジェラ・レギュロン / フラジェリン遺伝子ヌクレオチド配列 / オペレター配列 / 遺伝子水平伝達 |
Research Abstract |
赤痢菌属4亜群の各系統について、潜在性フラジェラ・レギュロンの最終調節段階にあるフラジェリン遺伝子fliCをクローン化し、分子遺伝子学的解析を行なった。 1.フレキシネリ株、ゾンネ株、及びボイディ株からクローン化したfliC遺伝子は、潜在性ではあるが発現能力を保持しており、無鞭毛大腸菌ΔfliC株内で発現し、宿主を運動性株に転換した。ディセンテリ株由来のfliCはIS因子挿入により欠陥遺伝子となっていた。 2.フレキシネリ株、ゾンネ株、及びボイディ株由来の鞭毛を抗原として抗体を作成し、イミュノ・ブロッティングにより抗原特異性の検定を行なった。各赤痢菌の鞭毛は特異的抗原を有し、これらは種々のサルモネラ菌血清型の特異的抗原とも異なっていた。 3.上記3株由来のfliC遺伝子それぞれを、サルモネラ菌由来のリプレッサー遺伝子fljAと共に大腸菌ΔfliC株に共存させた所、ゾンネ由来のfliC遺伝子の発現のみが抑制された。fljA遺伝子は、サルモネラ菌鞭毛相変異に関与する因子であるが、ゾンネ株からはfljAを含む相変異関連因子はサザン分析により検出されなかった。 4.4種類の赤痢菌fliC遺伝子について、全ヌクレオチド配列が決定された。各遺伝子は、fliC遺伝子一般に見られるように、5'定常領域、中央変異領域及び3'定常領域よりなっていた。ゾンネ由来のfliCを除く全fliC遺伝子は、中央領域以外は大腸菌fliCと高い相同性を示し、上流・下流の調節領域も大腸菌型であった。一方、ゾンネ株のfliC遺伝子の上流領域はサルモネラ菌fliCのそれと略同一配列であり、共通のオペレーターをもっていると考えられた。しかし、他の領域は大腸菌型であり、過去にサルモネラ菌からの遺伝子水平伝達があったことが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Noriko Okazaki: "Conversion of the Salmonella phase 1 flagellin gene fliC to the phase 2 gene fljB on the Escherichia coli K-12 chromosome" Journal of Bacteriolology. 175. 758-766 (1993)
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[Publications] Tadashi Hanafusa: "Nucleotide sequence and regulated expression of the Salmonella fljA gene encoding a repressor of the phase 1 flagellin gene" Molecular and General Genetics. 236. 260-266 (1993)
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[Publications] Akira Tominaga: "Molecular characterization of intact,but cryptic,flagellin genes in the genus Shigella" Molecular Microbiology. 12. (1994)