1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640696
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三木 健良 九州大学, 薬学部, 助教授 (40037586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関水 和久 九州大学, 薬学部, 教授 (90126095)
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Keywords | 大腸菌 / Fプラスミド / DNA分配 / sopB遺伝子 / letB遺伝子 / pbpA遺伝子 / rodA遺伝子 |
Research Abstract |
〔目的〕本研究の目的は、大腸菌の性決定(F)因子を材料として、大腸菌におけるDNA分配装置と分配過程に関与する因子を明らかにすることである。F因子は、大腸菌染色体同様、自律的複製システムに加え、複製が終了したDNA分子を2つの娘細胞に分配するシステムを持つ。F因子分配には、F因子上のsopA、sopB2つの遺伝子とセントロメア機能を持つsopC(incD)遺伝子領域が関与することが報告にされているが、これら遺伝子作用の分子機構は全くわかっていない。 〔研究成果〕担当者は、自律増殖に関与するF因子変異株を解析している際、分配遺伝子sopBに変異を持つ新しい型の変異株を見いだした。sop遺伝子を欠失したmini-Fプラスミドを持つ大腸菌は、分配が正常に行われないため。大腸菌の増殖に伴ってプラスミドを失った細胞を生じる。これに対し、letB変異株は、宿主大腸菌の増殖を阻害するものであった。これを用いて、大腸菌におけるDNA分配に関与するF因子、宿主大腸菌遺伝子の検索を行い以下の結果を得た。 (1)F因子letB変異株による増殖阻害には、分配されるDNA分子の長さが関与することを見いだした。折り畳み構造を持つ長いDNAの分配には、小さなDNAの分配とは違った機能を必要とする可能性を示唆するものであろう。15EA04:(2)F因子letB変異株による増殖阻害に耐性を示す大腸菌変異株を解析し、ペプチドグリカン合成の調節遺伝子pbpA(ペニシリン結合蛋白質2)、rodA(棹菌形態維持)、dacA(ペニシリン結合蛋白質5)が関与することを見いだした。細菌の細胞骨格であるペプチドグリカンがDNA分配装置として働いている可能性を示唆したはじめての結果である。 本研究は、これまで手の付けようがなかった原核生物におけるDNA分配の分子機構の解明への手掛かりを与えた点で、特にDNAの長さが分配過程に関与する可能性を示した点において、評価されるべき研究である。
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[Publications] Ogata,Y.,Mizushima,T.,Kataoka,K.,Miki,T.& Sekimizu,K.: "Identification of DNAtopoisomerases involved in immediate and transient DNA relaxation induced by heat shock in Escherichai coli" Mol.Gen.Genet.244. 451-455 (1994)
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[Publications] Mizushima,T.Ohtsuka,Y.Miki,T.& Sekimizu,K.: "Temperature shift-up leads to simultaneous and continuous plasmid DNA relaxation and induction of Dnak and GroE proteins in anearobically growing Eschericha coli cells." FEMS Microbiology Letters. 121. 333-336 (1994)
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[Publications] Mizushima,T.Tomura,A.,Shinpuku.,T.,Miki,T.& Sekimizu,K.: "Loss of flageration in dnaA mutants of Escherichia coli." J.Bacteriol. 176. 5544-5546 (1994)