1994 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生態系における従属栄養性渦鞭毛虫の動態と機能に関する研究
Project/Area Number |
05640720
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
中村 泰男 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 主任研究員 (00132853)
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Keywords | 従属栄養性渦鞭毛虫 / 微小動物プランクトン / 微生物食物連鎖 / 赤潮 |
Research Abstract |
(1)従属栄養性渦鞭毛虫(HDF)の一種であるGyrodinium dominansの培養を確立し、本種の餌嗜好性,摂食および増殖の動力学を明らかにした: i)G.dominans(〜30μm)は、大型(15-20μm)のナノプランクトンを好み、摂食速度は赤潮(Gymnodinium mikimotoi j〜15μm)を消滅させるのに充分である. ii)小型(2〜8μm)のナノプランクトンに対する摂食速度は小さく、HDFは小型のナノプランクトン群集の消長を支配する要因となりにくい. (2)瀬戸内海で夏、1カ月間の連続調査をおこない、HFD群集、HDFと競合関係にある繊毛虫,およびこれらの餌となるナノプランクトン群集の消長を調べた.またHDF(とくにG.dominans)の現場増殖速度を調べた: i)調査期間中Gymnodinium mikimotoiによる赤潮が発生した.これに伴い、HFDは一気に個体群を拡大し、しかも赤潮の消滅に重要な役割を果していることが明らかとなった. ii)繊毛虫は、赤潮の発生によっても個体群を拡大せず、小型のナノプランクトンの消長に追随して変動した. iii)これらの結果から、HDFと繊毛虫は異る餌を食べ、現場において競合関係にはないことが示唆された。
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