1994 Fiscal Year Annual Research Report
棘皮動物の系統進化および遺伝的変異に関する生化学的研究
Project/Area Number |
05640779
|
Research Institution | Hirosaki University, Facalty of Science |
Principal Investigator |
松岡 教理 弘前大学, 理学部, 助教授 (10125461)
|
Keywords | 棘皮動物 / ウニ類 / ヒトデ類 / 系統進化 / 遺伝的変異 / 電気泳動 / 遺伝的距離 / 分子系統樹 |
Research Abstract |
1.現在、日本近海で普通に見られるホンウニ目・サンショウウニ科には、2属4種が存在する。すなわち、サンショウウニ、キタサンショウウニ、ハリサンショウウニ、コシダカウニの4種である。これら2属4種の系統類縁関係をタンパク電気泳動法によるアイソザイム分析により調査した。16酵素の分析から得られた30遺伝子座のアイソザイム変異から、種間のNeiの遺伝的距離を求め、4種の分子系統樹を作製した。その結果以下のことが判明した。 (1)4種の中で、サンショウウニとハリサンショウウニが最も近縁である。 (2)一方、サンショウウニと形態的に類似したキタサンショウウニは、上記2種とは系統的に遠縁である。 (3)コシダカウニは、4種間で最も離れた関係にある。 これらの結果は、従来の形態レベルの知見とは異なるが、動物地理学的証拠とは一致する。分子系統樹と遺伝的距離から推定した分岐年代からこれら4種の進化系路を解明した。 北日本にごく普通に見られるキタムラサキウニとイトマキヒトデの陸奥湾の浅虫集団と日本海側の深浦集団の計4集団について、集団内の遺伝的変異と2地域集団間の遺伝的距離をタンパク電気泳動法により求めた。その結果、浅虫集団と深浦集団間の遺伝的距離から推定した分岐年代は、陸奥湾及び津軽海峡の形成時期とほぼ一致した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Matsuoka,N.: "High genetic variability in the atarfish Distolasterias nippon revealed by enzyme electrophoresis." Comp. Biochem. Physiol.104B. 75-79 (1993)
-
[Publications] Matsuoka,N.: "Biochemical sysytematics of echinoderms." Biochem. Syst. Ecol.21. 93-94 (1993)
-
[Publications] Matsuoka,N.: "Molecular studies on the phylogeny and evolution of echinoderms." Trends in Comparat. Biochem. Physiol.1. 155-169 (1993)
-
[Publications] Matsuoka,N.: "Biochemical systematics of five asteroids of the family Asteriidae based on allozyme variation." Zool. Sci.11. 343-349 (1994)
-
[Publications] Matsuoka,N.: "Genetic distance and enzyme variation in local populations of two echinoderms from Japanese waters." Comp. Biochem. Physiol.(印刷中). (1995)
-
[Publications] Matsuoka,N.: "Electrophoretic study on the phylogenetic relationships among four echinoids of the family Temnopleuridae." Comp.Biochem.Physiol.1:. (発表予定).