Research Abstract |
本研究では、自由表面,密度界面など,形状が変化したり,複雑な条件が課せられる境界で囲まれた流体を想定して,その汎用的な数値解析法を開発し,いくつかの工学的な問題への応用を目指している。物理的に簡明で,様々な問題への対応が柔軟な,「変形可能セル法」に対する積分型の保存則から数値解析式を導き,これを基礎として計算機コードを作成し,以下のテーマに取り組んできた. 1.自由表面波・密度界面波の,地形や流れとの相互作用. 2.浮体周り,生体の外部・内部の流れのような,移動物体と流体の相互作用. 3.磁場中の磁性流体や,粘性や表面張力が相対的に重要な微小重力中の流体など,特殊外力下の流体. 4.数値解析結果の診断法や、安定性や精度のよい数値解析法のための,数値流体力学の基礎. 1.に関連して,波動の鉛直解析に現れる様々な境界条件のうち,「開いた境界」については一定の認識に達したが(Computational Fluid Dynamics JOURNAL 3(3),pp.257-272),本年度は,傾斜面と自由表面・密度界面の交差点付近に現れる微小セルを注意深く扱うことで、より長い時間まで実用化レベルの数値解析を可能にした(MOVING BOUNDARIES'95,6th ISCFD にて発表予定). 磁性流体に関しては,表面波動の数値解析法について発表を行った(5th ISCFD,Proc.of NCTAM-43,計算力学[IV]).ところで,磁性流体中の非磁性流体は,外部磁場で力を加えたり動かすことができ,アクチュエータへの応用が考えられるが,その数値解析を2.と3.の組み合わせとして検討中である. 現在使用中の計算機コードは,個々の問題に依存しない部分と依存する部分とに分離できるように作成してきたが,試行錯誤を経て整理する必要を感じてきた。このため本年度から,もっと一般化やベクトル化を進めた新しい計算機コードを作り始めている.この際の記録を,4.のために役立てる.
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