1994 Fiscal Year Annual Research Report
ビンガム粘弾性レオロジー方程式によるグリースの弾性流体潤滑理論とその実験的検証
Project/Area Number |
05650150
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
林 洋次 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10063760)
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Keywords | グリース / ビンガム流体 / 粘弾性流体 / レオロジー / 潤滑理論 / トライボロジー |
Research Abstract |
前年度に製作した高制度加振装置を装備した振動式回転2重円筒レオメータによって、本年度はリチュムグリースのレオロジ特性を実験的に解明した。加振周波数と回転数をともに変化させ、加振振動と応答振動の振幅比および位相差を測定し、膨大な実験データに対して統計的処理を導入しかつ連立多元超越数方程式を多変数ニュートンラフソン法による反復計算を用いて、複素粘性係数と弾性係数を算出し、グリースに対する一般的なビンガム非線形粘弾性4要素レオロジーモデルの降伏応力、2個の粘性係数および2個の弾性係数を実験的に求めた。高分子重合物を添加した潤滑油に対する単純な非線形粘弾性4要素レオロジーモデルに比較して、グリースは複雑な処理を必要とすることを明らかにして、そのレオロジー特性の測定方法を確立することができた。 ころ軸受のような線接触弾性流体潤滑に対する昨年度の無限幅流体潤滑理論を、本年度は玉軸受のような点接触問題に対して拡張した。グリースのレオロジー特性実験で得られたビンガム非線形粘弾性4要素レオロジモデルを3次元流れに展開するために降伏応力テンソルを提案し、かつ流動方向の連成効果が過去と現在のコアの生成と消滅に及ぼす時間的関連を解明した。さらに、コアの形成状況を分類して、それぞれの場合に対するコアの形状の時刻歴を導入する方法を提示し、コアが潤滑面間を浮いて流れる場合、コアが壁面に一部付着する場合、コアが潤滑面間を全面的に満たす場合などに対する一般的な有限幅流体潤滑理論を確立した。初期値境界値問題のこれらの多元連立非線形偏微分方程式を数値解析し、また実験結果をも検討した結果、線接触問題に比較して、点接触問題ではコアは形成されにくいことが明らかになった。
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