1994 Fiscal Year Annual Research Report
高分子複合絶縁系の界面準位の解明とその制御法の確立
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05650320
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Research Institution | Fkui National College of Technology |
Principal Investigator |
川本 昂 福井工業高等専門学校, 電気工学科, 助教授 (90110189)
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Keywords | 複合系 / 光キャリア注入 / 界面 / ドナー準位 / アクセプタ準位 / ポリスチレン / ポリメチルメタクリレート / 電荷交換 |
Research Abstract |
有機高分子は充填剤や他の高分子との複合絶縁系として多く用いられており、これをより高電界で使用するには、絶縁体-絶縁体界面での電荷交換過程を明らかにする必要がある。前年度は、そのためにポリスチレン(PS)-ポリメチルメタクリレート(PMMA)複合絶縁系を例にバルク励起による光電流測定を行った。その結果、絶縁体-絶縁体界面での電荷交換が電子性キャリアの種類や移動方向に依存すること、PSとPMMAの接触帯電や界面での電子性キャリアの輸送過程が同じドナー・アクセプタ準位で説明できることなどを明らかにした。本年度は、RS、PMMA単体のエネルギー準位図の作成と材料固有の表面準位の存在の有無の検討を光キャリア注入法等を用いて行うとともに複合系の界面での電荷交換過程について考察した。 PSの光電流は、電極金属に依存することから280nmより長波長域では、電極からのホール注入に支配されることが示された。その注入に対するバリア高さをファウラ-プロットから評価すると、Au、Alに対しそれぞれ1.92eV、3.14eVとなる。また、注入バリアと金属の仕事関数の和が金属によらないことから、PSの表面に固有の表面準位がほとんど存在しないことが分かった。さらに、電子あるいはホールの伝導に実効的に寄与するレベルがそれぞれ真空準位から2.29eV、6.70eV付近に存在する可能性が示唆された。 PMMAの光電流は、265nmより長波長域では、電極からの電子注入に支配されることがわかった。この電子注入に対するバリア高さはショットキー効果により印加電界に依存する。PMMAの表面にも固有の表面準位がほとんど存在しないことが明らかとなった。また、電子あるいはホールの伝導に実効的に寄与するレベルがそれぞれ真空準位から0.29eV、5.08eV付近に存在する可能性が示された。 以上の結果より求めたPSとPMMAのエネルギー準位図により、PS-PMMA複合系の光電導の異方性が説明できた。
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Research Products
(2 results)