1993 Fiscal Year Annual Research Report
『類聚雑要抄』『類聚雑要抄指図巻』の住宅史的・文献学的研究
Project/Area Number |
05650604
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Research Institution | Hokkaido Institute of Technology |
Principal Investigator |
川本 重雄 北海道工業大学, 工学部, 教授 (40175295)
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Keywords | 類聚雑要求 / 類聚雑要抄指図巻 / 平安時代の住宅 / 平安時代の食事 / 調度 |
Research Abstract |
本研究の初年度に当たる本年は、先ず『類聚雑要抄』および『類聚雑要抄指図巻』の諸写本の調査・撮影に努めた。具体的に調査したのは、『類聚雑要抄』では内閣文庫所蔵の写本10点、宮内庁書陵部所蔵の写本5点、京都大学付属図書館所蔵の菊亭家本の写本を調査し、このうち内閣文庫所蔵の『類聚雑要抄』5点と菊亭家本の写真撮影を各館の担当業者に依頼し、それぞれの写真を手にいれた。『類聚雑要抄指図巻』では東京国立博物館資料館本・書跡本・サントリー美術館本・宮内庁書陵部本・慶応大学図書館本の5本の存在を確認・調査し、その中で最も保存状態がよく描写も優れていた書跡本を美術写真の専門業者に依頼して写真撮影した。 資料の収集と並行して行っている校訂作業では、写真撮影した写本と群書類従本の『類聚雑要抄』を比較しながら、さらにそのほかの文献史料を参考にしながら、本文の分言を正しており、現在巻一まで終わっている。また、家具史研究家の小泉和子氏に協力をいただいて本文の読み下し作業と本文中の語〓説明を進めており、こちらの方も巻一まで終わっている。そして、校訂した本文とその読み下し文、語〓の解説などが合わせて読めるような報告書を作るために、巻一の本文・読み下し文・解説をワープロを用いて編集した。 このほか、『類聚雑要抄』や『類聚雑要抄指図巻』が作られた時代背景や作られるまでのプロセスを明らかにするために、平安時代後半以降の様々な文献史料、具体的には『類聚雑要抄』が編纂された時期の『長秋記』『中右記』『兵範記』『殿暦』や江戸時代前半に『類聚雑要抄』の写本が作った中院通茂の日記『通茂卿記』などを調査した。
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