1994 Fiscal Year Annual Research Report
『類聚雑要抄』『類聚雑要抄指図巻』の住宅史的・文献学的研究
Project/Area Number |
05650604
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Research Institution | Hokkaido Institute of Technology |
Principal Investigator |
川本 重雄 北海道工業大学, 工学部, 教授 (40175295)
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Keywords | 調度 / 寝殿造 / 家具 / 平安時代 / 食生活 / 服飾 |
Research Abstract |
本年度は、平成5年度に調査し、写真撮影した『類聚雑要抄』・『類聚雑要抄指図巻』の諸写本を用いて、『類聚雑要抄』の本文の校訂作業や本文の読み下し、語彙の解説文の執筆などを行なった。具体的には、調査した『類聚雑要抄』の写本の中で最善本と考えられる京都大学附属図書館所蔵の菊亭家本を底本として、内閣文庫および群書類従本と比較しながら、校訂を行なった。一応、4巻全文の校訂作業は終了したが、現在進行中の語彙の解説の成果によって、さらに正確な校訂を行ないたいと考えている。また、本文の校訂作業と並行して、その読み下し文を作成した。『類聚雑要抄』はいわゆる日本式の漢文で書かれているために、平安時代を専門にする研究者はともかく一般の文化史研究者にとっては扱いにくい史料である。そうした障害を取除くためにも、読み下し文を作ることが不可欠である。来年度発刊する報告書には、本文と合わせて、その読み下し文も掲載したいと考えている。この読み下し文も、4巻全文が既に完成している。なお、これら一連の作業において、家具史研究家の小泉和子氏の協力をいただいており、本文中の語彙解説なども小泉氏と共に進めている。ただ、語彙の解説の方は、食物・建築・調度・服飾それぞれの分野で意味不明なものがまだいくつも残っていて、現在各分野の専門家の意見などをうかがっている段階である。不明なものをできるだけなくして報告書を作りたいと考えている。 このほか、『類聚雑要抄指図巻』全巻のトレース図面を本年度作成した。また、本年度の建築史学会大会において、これまでの成果の一部として、「『類聚雑要抄』巻2の東三条殿の指図について」と題する発表を行なった。
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