1993 Fiscal Year Annual Research Report
高選択性アンモニウムイオノホア分子の創製とそれを利用した高性能化学センサーの開発
Project/Area Number |
05650815
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 孝治 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (80154540)
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Keywords | アンモニウムイオン / イオン選択性電極 / イオノホア / ベンジルエーテル / 化学センサー / ニュートラルキャリアー |
Research Abstract |
ジベンジルエーテルがアンモニウムイオノホア分子として優れていることを見いだしたので、この分子のアンモニウムイオンとの溶液中の配位構造を仮定した錯体分子についての分子メカニクス計算を行い、詳しいイオン配位場の3次元的情報を得た。そして、それらを整理し、基本的な分子の配位数や立体的配位サイト位置などを決定した結果、図1に示すようなベンジルジエーテル誘導体がアンモニウムイオノホア分子として最も有効な構造をもつことがわかった。図1の化合物1から4は合成に成功した分子である。 これら1から4の分子をポリ塩化ビニル膜中に混合し、陰イオン性添加物(テトラフェニルボレイト)を加えてセンサー膜を作製し、銀-塩化銀電極を対極としたポテンシオメトリーによりアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンに対する応答を詳しく調べた。その結果、4の化合物が最も優れたアンモニウムイオン選択性を示し、この選択性はカリウムイオンに対して40倍、ナトリウムイオンに対して160倍と大変優れた化合物を得ることができた。 このベンジルエーテル誘導体4のアンモニウムイオン選択性は、天然物のナクチンやジベンジルエーテルより優れている。このような結果を1年で達成できたことは、研究助成申請時の予想よりも早く研究が進められていることを示す。この化合物が現在までのアンモニウムイオノホア分子の中で、世界最良のものである。 平成6年度もこれ以上の優れた選択性を有するアンモニウムイオノホア分子を継続して、設計、化学合成する予定である。
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