1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660174
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鍛代 邦夫 日本大学, 農獣医学部, 講師 (90161463)
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Keywords | シマガレ現象 / 積雪 / 林分構造 / 〓害 / 冬季風 雪〓 / 葉中水分 |
Research Abstract |
以下の項目について調査研究を行い結果が得られた。 1.縞枯山の現況:シマガレ林の現況と1980年前後の状況とを比較したところ、林木の立枯れる風衝最前面の位置(シマガレ線)は15m程度後退し、後退した部分の更新は良好であった。また成木帯の樹高は2m程度の高くなっていた。従って、シマガレ林の特異な構造(シマガレ林帯)は外観的には維持されたまま、その位置が移動してた。 2.積雪のパターン:シマガレ林帯内の積雪深は、樹高3-5mの若木の密集する箇所で最も大きく、雪丘の形成し、風衝最前面にあたる箇所で最も小さかった。このことは今までの調査結果と一致しており、これが林帯の形状に応じた積雪パターンであると考えた。 3.旧疎開穴の現況:1980年前後に認められた疎開穴の周囲は、現在稚樹帯になり外観的には消滅したが、更新稚樹の少ない部分として痕跡を残していた。またこの部分にはキイチゴ類の優占度が高く、後生稚樹の出現はほとんど認められなかった。 4.新しい疎開穴の発生:現状のシマガレ林帯内には1980年以降発生した疎開穴が多数認められ、この位置は若木帯内にあって、林帯内の最大積雪深を示す位置に一致していた。 5.針葉水分の変化:風衝最前面に位置するシラベ、アオモリトドマツから針葉を採取し、その冬季期間中における針葉中含水量の経時的変化を、熱量分析計を用いて解析した。現段階では、積雪の始まる12月比べ、2月では試料木とした特定部位の周辺にある針葉中水分の少ないことが認められた。本項目については測定継続中で、次年度研究期間における課題として年間を通じた測定を予定している。これによって、シマガレ現象の主要因である立枯れが、夏季の風あるいは冬季の風によるものであるかを検討する。 上記のように冬季期間中の環境とシマガレ林成立との関係に注目して研究を進めている。
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