1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660186
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
徳田 迪夫 三重大学, 生物資源学部, 教授 (50012018)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内迫 貴幸 三重大学, 生物資源学部, 助手 (80232841)
|
Keywords | 釘打ちによる木材の割れ / バリウム / 軟X線撮影 / 樹種特性 / 材質 / 国産材 |
Research Abstract |
平成5年度の研究に引き続き、樹種特性の詳細と木材の材質と釘打ちによる木材の割れの関係を、バリウム浸透法によって検討した。打釘による割れはほぼ木材の比重に比例するが、樹種、成熟材か未成熟材といったものが大きくきいてくる可能性がある。これらの因子を打釘による割れから推定した。本年度の実験から、次のような結果が得られた。 1)割れの形状は試験管型、楕円型、すり鉢型の3種類で、いずれも同一割れ面積の楕円で近似が可能であった。 2)釘の打ち込み回数の木材の割れ量への影響は極めて大きかった。 3)釘の先端、胴部形状の割れに対する影響は大であった。 5)木材の含水率が割れに及ぼす影響は大きかった。 6)釘の打ち込み面が板目か柾目ということの割れへの影響は少なかった。 7)釘打ちによる木材の割れ量は同一樹種間では、木材の比重と釘径の関数として表せた。このことを利用して、釘接合部の設計の際の最適釘配置方法を釘径および木材の比重をパラメータとして提案した。しかし、樹種が異なると、それぞれ樹種特性があり、単純に比重の関数として表すことはできなかった。 8)ヒノキは他樹種より釘打ちによる木材の割れが少なく、しかも、比重に比例した引抜き耐力を有する粘りのる材であることが、バリウム浸透法で明らかになった。 9)未成熟材と成熟材では同一比重でも、釘打ちによる木材の割れ量は大きく異なった。しかし、生長の遅いベイツガは、比重のわりに材がもろくて、割れ量が少なく、材のどの部分ても、未成熟材と同じ性質を有していた。 10)釘打ちによる木材の割れは樹種や材質と深い関係にあり、今後さらに本研究手法を用いることにより、木材の新たな材質の評価が可能であると考えている。特に国産のスギ、ヒノキと北米産の針葉樹との違いが明らかになり、スギ、ヒノキを建築用材として用いる際の長所が引き出せるものと考えている。
|