1993 Fiscal Year Annual Research Report
バイオテレメトリーによる甲殻類の行動生態に関する研究
Project/Area Number |
05660221
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中村 朗 東海大学, 海洋学部, 助教授 (50056115)
|
Keywords | バイオテレメトリー / ピンガー / 行動生態 / 甲殻類 |
Research Abstract |
タカアシガニの行動測定のために、水深350m以深で使用できる照度ピンガーならびに水温ピンガーを設計用意した。これらのピンガーは、照度、水温情報によって超音波パルス信号のパルス間隔が変化し、受信機・記録器で受信記録することができる。また、それぞれのピンガーは、シングルパルス、ダブルパルスとなっていて対象生物が同一箇所に存在しても受信機で聴音する事によって簡単に個体識別が可能で複数尾の同時追跡が可能なものとなった。ピンガーの性能試験は、ピンガーを圧力試験器に収納し、35kg/〓まで圧力を加え、正常に動作することを確認した後、水温ならびに照度を変化せしめ、情報を受信記録して、校正表を作成した。これらを海上にて水深350mまで下降させ、超音波信号を受信記録しつつ、水温情報は同時に使用したDBT(水深水温との関係が同時に記録できる装置)のデータと比較、照度情報は、水深との関係を記録した。1994年1月18日、駿河湾石花海北堆海域に雌のタカアシガニ5尾を運び水深300mの地点を選び1マイル間隔で放流した。追跡実験実施期間は、海況が悪く計画した5日の内3日間しか追跡できなかった。移動速度は、平均1時間あたり数十mで、存在した水深は放流したときの水深がほぼ保たれる結果となった。移動方向は、半時計方向で、流れとの関係は不明であった。水中照度は、0.01ルクスオーダーであまり変化しなかった。移動中の水温は、10℃付近で移動と水温に特定できる関係は見られなかった。今年度は、海況が悪く危険を避けるため主に日中に追跡が限定され今後に課題を残す結果となった。
|