1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660343
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡辺 徹 名古屋大学, 農学部, 教授 (30023427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 保成 名古屋大学, 農学部, 助手 (60152261)
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Keywords | 膵島D細胞 / 迷走神経 / ソマトスタチン / 酵素・免疫細胞化学 |
Research Abstract |
目的:鶏の両側迷走神経を腹腔内で切除すると、膵島D細胞内に電顕レベルで特異なデンスボディ(Pdb)が出現する。このPdbの本態を酵素細胞化学並びに免疫細胞化学的手法により解明することが目的である。 方法:この研究費により購入したバイブラトームを用い、カコジル酸で緩衝したパラフォルムアルデヒド(PA)とグルタールアルデヒド(GA)の混合液を用いて潅流固定した鶏の膵臓を厚さ40μmの切片とした。Robinson & Karnovsky(1983)の方法に従い、水解小体の解明には酸性ホスファターゼ(AcPase)反応を、Golgi装置のトランス層板の証明にはチアミンピロホスファターゼ(TPPase)反応を行った。常法により切片をエポンに包埋し、超薄切片とし電顕で観察した。又、迷走神経を切除した別の鶏を用い、PAで潅流固定後常法によりエポン包埋し、超薄切片を作成後、ソマトスタチン抗体を用いて免疫金染色を行い、D細胞の分泌顆粒及びPdbの標識を電顕で観察した。その結果を、通常の電顕観察結果と共にルーゼックスにより形態計測を行った。 結果:迷走神経切除を行うと、D細胞中の分泌顆粒は有意に減少したが、Pdbは有意に増加した。時折PdbはGolgi装置から形成される像が見られたが、ソマトスタチンの免疫金の標識は殆ど見られなかった。PdbはAcPase反応には陽性を示したが,TPPase反応には陰性であった。第一次水解小体とPdbの癒合は見られず、又細胞小器官の残渣も見られないので、Pdbは自己貪食胞としての第二次水解小体とは考えられない。まとめると、Pdbは分泌顆粒中に含まれる水解小体酵素によってプロセシングされたものと考えられ、膵島内分泌細胞の機能に迷走神経が深く関わっていることを証明したものと考える。
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