1993 Fiscal Year Annual Research Report
神経特異遺伝子の発現調節と薬物による調節-神経分化・記憶に関与する転写調節因子の同定
Project/Area Number |
05670089
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
樋口 宗史 大阪大学, 医学部, 助教授 (30150337)
|
Keywords | Neuropeptide Y / Enkephalin A / Gene expression / 降圧剤 / SHR / pheochromocytoma / CAT assay / transcriptional factor |
Research Abstract |
(1)平成5年度では、重要な生理作用を持つ神経特異遺伝子NPYの遺伝子発現の転写レベルでの制御を、高血圧発症ラットとヒト褐色細胞腫をモデルに、解析した。 (2)昇圧ペプチドNPYの遺伝子発現は、SHRラットの高血圧発現に伴い、末梢交感神経副腎や大脳皮質で減少する。このことは、高血圧の伸展に対して、交感神経系のNPY遺伝子発現を減少させて降圧しようとする代償機構が生体に存在することを示している。大脳でのNPY遺伝子発現とNPY量の減少はSHRラットの行動異常や記憶障害に関与している。 (3)ヒト褐色細胞腫でのNPY遺伝子発現が正常副腎髄質のそれよりも高まっていることを明らかにした。このNPY遺伝子発現の増加は褐色細胞腫の分化度に依存しており、NPYの過剰産生が特有の褐色細胞腫の症状を引き起こしていると考えられる。 (4)神経特異NPY遺伝子上にある膜脱分極反応エレメントと神経分化反応エレメントを同定した。決定した反応エレメントに結合する核内転写因子の同定を行なっている。この因子の活性は薬物の調節を受けるので、その薬物の作用メカニズムを明らかにしたい。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Higuchi,H.,Nakano,K.and Iwasa,A.: "Decrease in prepro-neuropeptide Y gene expression in the adrenal gland and cerebral cortex of spontaneously hypertensive rats." Neuropeptides. 25. 343-349 (1993)
-
[Publications] Higuchi,H.,Iwasa,A.and Yokokawa,K.: "High expression of neuropeptide Y mRNA in human pheochromocytomas." Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.(in press). (1994)
-
[Publications] 樋口宗史、王小兵: "分子生物学的手法による神経特異遺伝子の発現調節の解析" 脳と精神の医学. 4. 111-117 (1993)
-
[Publications] 樋口宗史: "チロシンキナーゼの細胞内情報伝達" Molecular Medicine. 30. 1482-1484 (1993)
-
[Publications] 樋口宗史: "Huntington病の病因遺伝子" Molecular Medicine. 30. 1589-1590 (1993)
-
[Publications] 樋口宗史,内田修次: "「結合実験」レセプター-基礎と臨床-" 朝倉書店(井村裕夫 他編), 250-258 (1993)