1993 Fiscal Year Annual Research Report
レクチン・モノクローナル抗体ならびに糖質分解酵素による血液型糖鎖の組織化学的解析
Project/Area Number |
05670396
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 信彰 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (50112545)
|
Keywords | 血液型抗原 / 糖鎖抗原 / 糖質分解酵素 / ポリラクトサミン / レクチン / モノクローナル抗体 / 組織細胞化学 |
Research Abstract |
exo型の糖質分解酵素(beta-galactosidase,alpha-galactosidase,alpha-L-fucosidase,beta-N-acetylhexosaminidase,sialidase)による前処理法をレクチン染色やモノクローナル抗体による免疫染色と組み合わせ、組織切片上で糖鎖構造を分析するという方法は、すでにほぼ確立し、各種組織の抗原構造の解析に応用している。今年度ではさらにendo-beta-galactosidase処理と、N-acetylglucosamineに特異的な Griffoniasimplicifolia agglutinin-II(GSA-IIレクチン)染色による長鎖のポリラクトサミン構造を組織切片上で解析する方法を確立した。この方法を用いることにより、いくつかのヒト正常組織(膵臓、唾液腺、気管腺、舌腺、胃粘膜等)でのポリラクトサミン構造の局在と、血液型抗原発現との関連性が明らかになった。すなわち、膵臓腺房細胞や唾液腺の線状部では 組織donorの血液型に関係なく酵素処理後にGSA-IIの反応性が現れたが、胎児や新産児の組織ではあらかじめfucosidase前処理をしておくことにより、endo-beta-galactosidase処理の効果が非常に高まった。また、唾液線や気管腺の粘液細胞や胃粘膜上皮では非分泌型の固体に由来する組織のみにendo-beta-galactosidaseによるGSA-IIの反応性が現れた。以上のように当初計画した正常組織内のendo-beta-galactosidase感受性のポリラクトサミン構造と血液型抗原の分布様式については、平成5年度分についてはほぼ達成され、6年度分として予定していた組織 (肝臓、腎臓、皮膚 等)についても現在研究は進行中である。その成果の一部は論文としてまとめすでに英国の雑誌であるHistochemical Journal に投稿し受理されている。今後、これまで確立した方法を正常組織ばかりでなく病的組織や癌化した組織などの血液型抗原の解析に、応用する予定であるる。
|
Research Products
(1 results)