1993 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患において集積しているT細胞レセプター・クロノタイプの解析
Project/Area Number |
05670414
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 嘉 東京大学, 医学部(病), 助手 (50114608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 直人 東京大学, 医学部(病), 助手
間藤 卓 東京大学, 医学部(病), 医員
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Keywords | 自己免疫疾患 / T細胞レセプター / 全身性エリテマトーデス / サルコイドーシス |
Research Abstract |
今年度はとりあえず代表的な自己免疫疾患として、全身性エリテマトーデス(SLE)とサルコイドーシスを分析した。まず初発SLE3症例について、治療前及び治療の経過に従って末梢血リンパ球を経時的に採取して、mRNAを抽出、cDNAに変換してT細胞レセプター(TCR)、V領域ファミリー特異的なプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応を行ない、リンパ球集団で発現しているTCR遺伝子を増幅させた。これを熱変性させ一本鎖にしたのち非変性ポリアクリルアミドゲルにて電気泳動し、SSCP法による分析を行なった。この結果、SLEの活動性が高い時期には末梢血中に一定のT細胞クローンが集積していることが明らかとなったが、治療により非活動性となるに従い、これらの集積していたクローンが消失することも判明した。T細胞数は活動期に減少し、非活動期に増幅するのでこの全体の数とクローンの集積は逆相関することが示されたことになる。一方サルコイドーシスについては、その病変局所である肺胞洗浄リンパ球と末梢血リンパ球を、それぞれ健常人検体で比較した。この結果、肺胞洗浄リンパ球では、健常人にもかなりのT細胞クローンの集積がみられたが、それ以上にサルコイドーシスの患者では、集積が著しかった。しかし末梢血リンパ球の分析では、両者に差は認められなかった。今後SLE、サルコイドーシスでの集積クローンのCD4,CD8別の解析とこれらのクローンのTCRの塩基配列の決定を行う予定であり、さらに強皮症などの他の自己免疫疾患についての検討を行う予定である。
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