1995 Fiscal Year Annual Research Report
基底核の単一神経細胞における受容体のmRNAの複数同時発現について
Project/Area Number |
05670569
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
藤本 健一 自治医科大学, 医学部, 講師 (50238614)
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Keywords | ドーパミン / 黒質 / 線条体 / DOPAC / HPLC |
Research Abstract |
平成5年度の線条体へのビククリン注入によるジスキネジアモデル動物の作成,平成6年度のin situ hybridization法による線条体コリン性介在ニューロンにおける可塑性マーカーGAP-43発現の証明に引き続いて,平成7年度は線条体でのドーパミン分泌を規定する因子の研究を中心に研究を発展させた. 黒質のドーパミン細胞は線条体に投射し,ここでドーパミンを分泌する.ドーパミンは軸索終末の小胞内に貯蔵されており,Ca流入に伴って小胞が細胞膜に癒合するとドーパミンがシナプス間隙に放出される.ドーパミン分泌を規定する因子はいくつか考えられる.その中で今回は特に黒質のドーパミン細胞の電気的活動性とドーパミン分泌の関係について検討した.無麻酔ラットの線条体にmicrodialysis probeを刺入し,線条体内のドーパミンおよびその代謝産物であるDOPACをHPLCを用いて測定した.またガラス電極を用いて,黒質ドーパミン細胞の電気活動を記録した.基礎値を記録した後,ドーパミン細胞にコリン性の投射をもつ脚橋核にイボテン酸を注入して間接的にドーパミン細胞を刺激した.この時線条体のDOPACは約60%増加した.しかしドーパミン自体の増加は認めなかった.DOPACの増加は黒質へのスコポラミン(コリン拮抗剤)の投与によって阻害された.この時の黒質ドーパミン細胞の活動電位の発射は予想に反して減少していた.この事実を説明するのは難しい.時間的なずれの問題,ドーパミンやDOPACの再取り込みの問題,分解酵素の問題など様々な因子が関与する可能性がある.いずれにしても,ドーパミン細胞の発火回数に応じて単純に細胞間隙のドーパミン濃度が変化するわけではないことがわかった.
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Research Products
(1 results)