1995 Fiscal Year Annual Research Report
動脈平滑筋Ca^<2+>活性化K^+チャネルの本態性高血圧症における役割
Project/Area Number |
05670629
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
浅野 正久 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (10137078)
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Keywords | 動脈平滑筋 / Ca^<2+>活性化K^+チャンネル / Ca^<2+>イオン / 本態性高血圧症 |
Research Abstract |
Ca^<2+>活性化K^+チャンネルにはすでに検討した静止時および細胞内Ca^<2+>濃度上昇時の負のフィードバック機構としての役割に加え、内因性血管拡張物質の作用点としての役割がある。この作用は細胞内Ca^<2+>濃度の上昇を介さず直接あるいはリン酸化を経由してこのチャンネルを開口すると考えられている。動脈における代表的な弛緩機構であるcyclic AMPやcyclic GMPを介する反応にCa^<2+>活性化K^+チャンネルがどの程度関与しているかを平成7年度に検討し、以下の新しい知見を得た。 1.カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は内因性血管拡張物質の一つであり、平滑筋と内皮の両方に存在するCGRP受容体に作用すると考えられている。このCGRPの血管弛緩機構を13週令の正常血圧ウイスターキョウトラットの腸間膜動脈で検討したところ、この動脈ではCGRPの弛緩反応は内皮を除去しても変わらなかったので平滑筋に対する作用であった。そのメカニズムとしてcyclic AMPの増加によりcyclic AMP依存性蛋白キナーゼが活性化され、K^+チャンネルがリン酸化され最終的に弛緩がおこる可能性が考えられるのでこれを検討した。CGRPの弛緩反応はCa^<2+>活性化K^+チャンネル遮断薬(charybdotoxin,iberiotoxin)で抑制されず、またATP感受性K^+チャンネル遮断薬(glibenclamide)でも抑制されたかったので、この弛緩反応にCa^<2+>活性化K^+チャンネル、ATP感受性K^+チャンネルは関与しておらず、他のメカニズムが関与していると考えられた。 2.アセチルコリン(ACh)は内皮のムスカリン受容体に作用して内皮から弛緩因子(EDRF;NO)、過分極因子(EDHF)、PGI_2などを遊離する事が知られている。NOが遊離されれば平滑筋でcyclic GMPが増加し、cyclic GMP依存性蛋白キナーゼが活性化されてK^+チャンネルがリン酸化され弛緩がおこる可能性がえられ、またEDHFが遊離されたらどのK^+チャンネルが開口するか、などを13週令の正常血圧ウイス-キョウトラットの腸間膜動脈で検討した。AChの弛緩反応は内皮の除去により完全に消失し、またNO合成酵素阻害剤で一部抑制されたが、Ca^<2+>活性化K^+チャンネル遮断薬(charybdotoxin,iberiotoxin)では抑制されなかった。したがってAChの弛緩反応にCa^<2+>活性化K^+チャンネルは関与していないと考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masahisa Asano: "Increased function of voltage-dependent Ca^<++> channels and Ca^<++> -activated K^+ channels in resting state of femoral arteries from spontaneously hypertensive rats at prehypertensive stage." J.Pharmacol.Exp.Ther.275. 775-783 (1995)
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[Publications] 浅野 正久: "動脈平滑筋Ca^<2+>活性化K^+チャンネルの本態性高血圧症における役割" 病態生理. 14. 566-569 (1995)
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[Publications] M.Asano: "Increased Ca^<2+> influx in the resting state maintains the myogenic tone and activates charybdotoxin-sensitive K^+ channels in femoral arteries from young SHR." Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.22(Sl). S225-S227 (1995)