1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670679
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
伊藤 道徳 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (40211057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 泰弘 徳島大学, 医学部, 教授 (20035471)
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Keywords | ミトコンドリア病 / ミトコンドリア / 酵素蛋白質輸送過程 / ピルビン酸脱水素酵素 |
Research Abstract |
ミトコンドリアは細胞のエネルギー産生などの重要な機能を担う細胞内小器官の一つである。ミトコンドリア病はミトコンドリア酵素蛋白質の異常によりこのミトコンドリア機能が障害されて,重篤な症状をきたす疾患である。本年度は,複数のミトコンドリア酵素の活性が低下し,ミトコンドリア内へのミトコンドリア酵素蛋白質の輸送障害が推測されるミトコンドリア病患者由来の培養皮膚線維芽細胞を用いてピルビン酸脱水素酵素蛋白質のミトコンドリア内への輸送過程の障害を明らかにして,この輸送障害がミトコンドリア病の病因の一つで明らかにすることを目的に研究を行った。患者由来の培養皮膚線維芽細胞を用いたイムノブロット分析では,ピルビン酸脱水素酵素蛋白質は著明に減少していた。また,セル・ラベリング分析では正常では認められない前駆酵素蛋白質が患者由来の細胞では認められた。さらに,パルス・チェイス分析において患者では前駆酵素蛋白質のミトコンドリア内への移行速度が正常対照の約40%〜60%に遅延していた。これらの結果から本症例のミトコンドリア酵素活性低下が前駆酵素蛋白質のミトコンドリア内への輸送機構の障害によるものであり,この障害がミトコンドリア病の病因の一つであることを明らかにした。また,PCR法を用いて正常ピルビン酸脱水素酵素αおよびβサブユニットに対するcDNAをクローニングした。今後,これらのcDNAを用いたin vitro蛋白質合成系と患者培養線維芽細胞ミトコンドリアによって,患者における前駆酵素蛋白質の輸送障害部位を明らかにしていく予定である。
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