1994 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病におけるProhormone Convertase2遺伝子の研究
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05670877
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Research Institution | Wakayama Medical College |
Principal Investigator |
大萩 晋也 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (90244748)
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Keywords | プロインスリン変換酵素 / NIDDM / PC2 / プロモーター / SSCP |
Research Abstract |
プロインスリンからインスリンへの変換はインスリン生合成において重要なステップである。1990年にクローニングされたPC2、PC3は各々以前Huttonらにより報告されたTypeII、TypeIのプロインスリン変換酵素であることが明らかになり、PC2はプロインスリンのCA結合部位を、PC3はBC結合部位を切断すると考えられている。NIDDMでは血中プロインスリンの高値が報告されていることより、PC2、PC3の異常がNIDDMの成因の一つである可能性がある。我々は以前、PC2の構造とプロモーター領域について検討を行ったが、プロモーター領域でその活性に重要な部位は種族間で保存されていることより、今回さらにマウスPC2遺伝子のプロモーター領域を同定し、ヒトとの比較を行った。その結果、マウスではヒトと同様にTATA boxとCAAT boxが存在せず、ヒトで認められた6箇所のGC boxのうち4箇所が完全に保存されているのが確認された。また、転写開始部位はヒトとマウスで同一であり、その上流-600bpまでは、両者で約70%の相同性を認めた。この共通の領域が転写調節に重要な部位であることが考えられ、その塩基配列の情報は今後の発現調節の解析に有用であると考えられた。PC2遺伝子と糖尿病の関連性に関しては、PC2遺伝子のイントロン2にCA dinucleotideの繰り返しよりなる多型性に富む領域(simple tandem repest polymorphism)を同定し、このSTRPを用い日本人NIDDMとPC2遺伝子との関連性を検討した。その結果、7種類のallele(A1-A7)は認められ、NIDDMでA1が健常者に比し有意に高頻度であった。そこで次にPCR-SSCP法をもちいて60名のNIDDM患者でPC2遺伝子をスクリーニングした。その結果、一例でエクソン1に異常パターンを認め、一方のalleleの翻訳開始部位より-2位のGがTとなる変異が認められた。この変異により翻訳開始部位の直前にメチオニンが付加される可能性が考えられた。またこの変異により翻訳効率の低下が起こる可能性も想定された。今後、本症例で認められた突然変異の意義に関し、検討する必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hitomi Yoshida,et al: "Association of the Prohormone Copvertase 2 Gene(PCsk2) on Chromesome 20 with NIDDM in Japanese Suhjortc" Diabetes. (inn press).
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[Publications] Shinya Ohagi,et al: "Simple tandem report DNA polyamnphsm in the PC2 is associated with NIDDM" Pathmglnesis and Teatment of NIDDM and it Relatd Problend. 1057. 193-196 (1994)
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[Publications] 大萩晋也: "Prohormone Converting Engyne “Prohormone Converta2"遺伝子の構造とプロモーター領域の解析" 分子糖尿病学. 4. 7-13 (1993)