1994 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化剤による外傷性てんかん発症予防対策に関する研究
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05671164
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
横井 功 岡山大学, 医学部, 助手 (80150366)
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Keywords | 外傷性てんかん / 抗酸化剤 / 活性酸素消去剤 / 活性酵素 / エピガロカテキン / エピガロカテキンガレート / 脳透析 / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
気管内挿管し人工呼吸下に筋弛緩剤で非動化し脳透析灌流用プローブを尾状核に挿入した雄Sprague-Daweyラットの大脳皮質感覚運動野内にFeCl_3溶液(100mM)を5μ1注入することにより、外傷性てんかんモデルラットを作成した。脳透析灌流用プローブ内を生理食塩水で灌流し、20分ごとに濯流液中に含まれるジヒドロキシフェニール酢酸(DOPAC)、ホモバニリン酸(HVA)及び5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)量を測定し、以下の結果を得た。(1)FeCl_3を投与すると尾状核内のDOPAC量は投与120分後より、HVA量は投与160分後より増加したが、5-HIAA量に変化は認められなかった。(2)エピガロカテキン(EGC)を腹腔内に50mg/kg投与してもDOPAC、HVA及び5-HIAA量に変化は認められなかったが、FeCl_3投与によるDOPAC及びHVA量の増加を正常化した。(3)エピガロカテキンガレート(EGCG)を腹腔内に25mg/kg投与してもDOPAC量に影響はなかったが、HVA量は180分後より減少、また5-HIAA量は40分後より増加した。一方、EGCGはFeCl_3投与によるDOPAC量の増加を正常化し、HVA量の増加を抑制した。(4)EPC-Kを大脳皮質に500pmol投与してもDOPAC、HVA及び5-HIAA量に変化は認められなかったが、FeCl_3と共に投与するとDOPAC及びHVA量の増加はFeCl_3単独投与の場合より早期から始まった。尾状核灌流液中のDOPACやHVAの増減は神経細胞からのドパミン放出量の増減を、また5-HIAAの増加はセロトニン放出量の増加を意味するが、本研究の結果FeCl_3を投与すると尾状体内ではドパミンの放出量が増加するが、EPC-Kの結果よりドパミン系神経伝達がFeCl_3によるけいれんの制御に関与していることが示唆された。また、EGCはFeCl_3により誘発される神経伝達物質放出異常を正常化し、EGCGは抑制系であるセロトニンの放出を増加してFeCl_3誘発発作を抑制した。EGC、EGCG及びEPC-KはFeCl_3誘発発作波を抑制することを平成5年度明らかにしたが、神経伝達物質放出異常の観点からも外傷性てんかん発症予防のためにこれらの物質が有用であることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)