1993 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性脳血管障害の病態における血小板活性化因子(PAF)の関与について
Project/Area Number |
05671177
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
永井 肇 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (00023747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 淳 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (00244567)
間部 英雄 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (20093073)
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Research Abstract |
ウイスターラットを用い、麻酔下に内頚動脈より糸付き塞栓子を挿入し中大脳動脈閉塞、塞栓子を抜くことで血流再灌流とするモデルを作成した。病理組織学的検討では、閉塞2時間後から皮質の海綿状状態がみられ、神経細胞の核や細胞質の濃縮、空胞化、融解などの梗塞所見がみられた。この梗塞の程度は閉塞時間が延長するとともに強くなった。脳梗塞の広がりは個体差が少なく、その範囲は側頭頭頂葉、基底核、視床下部に及び、内頚動脈分枝および中大脳動脈領域全般にわたる広範なものであった。6時間閉塞後再開通したものでは、梗塞巣に加え基底核や視床下部に毛細血管からの出血が加わっていた。脳浮腫の指標としての脳水分含量は、閉塞前の78.1%から閉塞2時間後には79.6%と有意に増加し、閉塞6時間後には80.5%、閉塞12時間後には81.6%に達した。また、虚血後血流再開通により脳水分含量はさらに増加した(4時間閉塞2時間再開通で80.6%)。以上の如くラットを用いた中大脳動脈閉塞による再現性のよい局所脳虚血、再開通モデルが確立された。 現在、PAF抗体を用いたRIA法により上述の虚血ラット(閉塞群および閉塞後再開通群)の脳内PAFの定量を試みているが、試料の抽出に問題があるためか満足すべきデータは得られていない。今後はPAF局所投与による脳病態に関する検討も併せて行なっていく予定である。
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