1994 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性脳血管障害の病態における血小板活性化因子(PAF)の関与について
Project/Area Number |
05671177
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Research Institution | Nagoya City University Medical School |
Principal Investigator |
梅村 淳 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (00244567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間部 英雄 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (20093073)
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Keywords | 局所脳虚血 / 脳浮腫 / 血小板活性化因子 |
Research Abstract |
局所脳虚血による脳浮腫の発生と脳内血小板活性化因子(PAF)産生との関係について検討を行なった。局所脳虚血は昨年度確立したラットのモデルで,切離翻転した外頚動脈から内頚動脈に糸付き塞栓子を挿入することで中大脳動脈を作成し,塞栓子を抜くことで血流再潅流とした。実験群として,sham群,2時間虚血群(2-0群),4時間虚血群(4-0群),2時間虚血後2時間再潅流群(2-2群)の4群を作成し,それぞれの群において脳浮腫の指標としての脳内水分含量および脳内PAF含量を測定した。脳内水分含量はラットを断頭屠殺後虚血側大脳半球を摘出し,乾燥重量法で測定した。脳内PAFの定量については,ラットの頭部にマイクロウェーブを照射して酵素反応を停止させてから脳を摘出,Bligh&Dyerの方法で脂質を抽出し,薄層クロマトグラフィーでPAFを分離し,Amersham社のPAF[^3H]scintillation proximity assay systemで定量した。その結果ラット中大脳動脈閉塞による脳内水分含量は,sham群78.45±0.27%,2-0群79.73±0.48%,4-0群80.35±0.30%,2-2群80.93±1.05%であり、虚血により脳内水分含量の有意な増加が見られ,これは虚血時間の延長および血流再潅流によりさらに増加した。一方,脳内PAF含量については,sham群4441±346,2-0群2298±409,4-0群2481±679,2-2群2901±930ng/g dry wtであり,虚血により大脳半球内PAF含量は有意に低下し,血流再潅流によりやや増加傾向が見られたもののコントロールに比べまだ低値であった。今回の結果より,ラットの局所脳虚血において虚血性脳浮腫の発生と脳内PAF含量との間には明らかな相関関係を認めなかった。また,これまでにPAFアンタゴニストを用いた間接的所見から脳虚血の病態におけるPAFの関与が推定されていた。しかし今回の我々の結果から,局所脳虚血においては,虚血の進行により脳内PAF含量は低下することが明らかとなった。
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