1993 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌の転移、進展におけるE cadherinの異常と染色体16qの欠損との関連
Project/Area Number |
05671374
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
木花 敏雅 愛媛大学, 医学部, 助手 (90234327)
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Keywords | 染色体16番長腕 / E-カドヘリン / 卵巣癌 / 子宮内膜癌 / 転移抑制遺伝子 |
Research Abstract |
前立腺癌,肝癌,乳癌で染色体16番長腕の欠損が検出され,そのなかでも16q22.1領域の欠損が多く認められている。染色体16q22.1領域にはE cadherinが存在し,E cadherinが転移抑制遺伝子の候補のひとつとして考えられている。 卵巣癌15例,および子宮内膜癌29例のそれぞれの癌組織,正常組織よりDNAを抽出した。染色体16番長腕に存在するdinucleotide repeat polymorphismを利用した4種類のmicrosatellite markerを作成した。そのmarkerは染色体16q22.1領域を中心として作成した。解析した領域のすくなくともひとつ以上が欠損したものは卵巣癌において67%(10/15),子宮内膜癌において34%(10/29)であった。染色体16q22.1領域の欠損は,polymorphismの情報がある症例において卵巣癌では3/7(43%),子宮内膜癌では33%(5/15)に認めた。染色体16q22.1領域の欠損と臨床病理学的事項との関連は卵巣癌では,serous carcinomaに多く認められ,内膜癌ではpoorly differentiated cancerに多く認められた。また,fresh frozen組織を抗E cadherin抗体を用いて免疫組織化学染色を施行した。その結果,子宮内膜癌の多くはE cadherinの発現が認められたが,poorly differentiated cancerでは発現が認められなかった。卵巣癌では一般にheterogenousな発現態度を示した。 以上の結果より,卵巣癌,一部の子宮内膜癌においては染色体16q22.1領域の欠損が関係しているものと思われた。
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