1993 Fiscal Year Annual Research Report
ラット胎児肺胞II型細胞の炎症性物質添加時における肺サーファクタトト分泌能の研究
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05671385
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 りか 福島県立医科大学, 医学部・産婦人科, 助手 (10244386)
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Keywords | 肺胞II型細胞 / dipalmitoylphosphatidylcholine / HPLC / Prostaglandin |
Research Abstract |
【目的】ラット胎仔肺胞II型細胞からの肺サーファクタントリン脂質の主成分であるdipalmitoylphosphatidylcholine(DPPC)分泌量について、各種薬剤の添加による違いを検討した。 【方法】胎令18、20日目のラット胎仔肺を摘出し、肺胞II型細胞を分離、0.5×10^6cells/dishにて、37℃、5%CO2下に8日間単層培養した。培養群は無添加(コントロール)群およびprostaglandinE_1(PGE_1)、dexamethasone(dexa)、ritodrine(rit)添加群とした。48時間毎に交換した培養液中に分泌されたDPPCを抽出した後、純化、前処理し、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定した。 【成績】1.電子顕微鏡写真とlectin結合試験により肺胞II型細胞を証明した。2.DPPC測定法は、回収率試験、直線性試験ともに問題なく、再現性と定量性に優れた方法であった。3.薬剤添加実験:1)Rit.添加群では胎令18日、20日とも培養期間を通じ、DPPC分泌に対する促進的傾向が認められたが他では認められなかった。2)Dexa.添加群では胎令18日、20日とも培養期間を通じ、DPPC分泌に対する促進的効果は認められなかった。3)胎令18日のPGE_110^<-8>M添加群では培養期間を通じ、DPPC分泌が促進される傾向があり、培養6日目で有意差が認められた。4)胎令20日のPGE_110^<-8>添加群で培養期間を通じ、DPPC分泌が維持された。 【考察】Rit.は肺胞II型細胞より一過性のサーファクタント分泌を促進する効果はあるが、合成促進効果はないもと思われた。Dexa.は肺胞II型細胞に直接添加した場合は、サーファクタント促進効果は認められず、肺胞II型細胞に対する直接の効果でなく、他の因子の関与が示唆された。PGE_1はサーファクタント分泌促進効果があり、この分泌促進効果はc-AMPなどを介する直接的な分泌促進効果のみならずgeneの直接刺激による合成促進効果も存在する可能性も示された。 【結論】PGE_1はラット胎仔肺胞II型細胞に対し、DPPC分泌刺激効果を有していることが確認された。このことより子宮内においてprostaglandinsが高い環境下ではサーファクタントの分泌が早くから促進される可能性が示された。
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