1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの視覚入力刺激に合わせた動的体平衡機能についての研究
Project/Area Number |
05671447
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Research Institution | Toho University School of Medicine |
Principal Investigator |
山本 昌彦 東邦大学, 医学部, 助教授 (40112916)
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Keywords | 視標移動刺激 / 重心動揺 / 体平衡 / 追随能力 / body tracking test / BTT |
Research Abstract |
本研究は、動的体平衡機能を定量的に評価する検査システムとして、視覚入力による刺激負荷によって行われる装置と検査法についての基本的なアルゴリズムを完成させることである。 平成5年度の研究において、検査装置と視刺激法のプログラムが検討され、平成6年度は、視刺激の最適刺激法を割り出し、追随状態をみるために、正常被験者による変数を変えた実験を行った。この変数は、視刺激の速度、重心移動のディスプレー表示ゲイン、視標とディスプレーとの距離など条件を変えてデータを記録し、解析をおこなった。データ記録に際しては、視刺激用ディスプレーの高さをディスプレーの中心と被験者の目の高さと同じにセットした。 視刺激速度について:ディスプレー上の視標の移動範囲は、14インチディスプレーで縦、横それぞれの刺激幅を15センチとした。その上で、刺激速度の最適値の設定を検討する。重心移動ゲインについて:ディスプレーに表示される重心移動を実際の重心移動の大きさに対してどの程度の表示ゲインにするのか倍率の設定を(1:1で重心移動1が表示上も1となる)検討した。被験者とディスプレーとの距離:被験者とディスプレーとの距離によって追随の感覚が異なってくるためにその距離を検討した。適正な条件として、正常被験者が一番安定した追随状態を示すことが出来る指標として、視標の移動距離と重心の移動距離の違いからの判定を行った。視標移動距離から大きくまた小さくなる程度が強い程、追随状態が悪いことを基準とした。その結果、視刺激速度を約0.1cm/sec、重心移動表示ゲインは約2.0。被験者とディスプレーとの距離は1.0mがほぼ適正な値に近いことが分かった。この設定値によりBTTを行い、追随状態に多くのタイプを見ることが出来た。しかし、設定値は、一層多くの正常者によって行い決定することが必要であり、今設定値は仮の設定値とする。 動的体平衡機能検査装置としての基本は完成することが出来た。今後、検査条件の確立と検査データの評価法について、移動距離のズレだけでは評価が不十分であり多くの解析法の検討が必要である。同時に、臨床応用、リハビリテーション医学、スポーツ医学などの利用を検討してゆく予定である。
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