1994 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性サイトカインによる歯周病原性細菌の増殖促進機構の解明
Project/Area Number |
05671520
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Research Institution | NIHON UNIVERSITY |
Principal Investigator |
落合 智子 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (20130594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 邦康 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50095444)
福島 和雄 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (20009327)
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Keywords | 増殖 / 歯周病原性 細菌 / IL-1α / IL-1β / IL-6 |
Research Abstract |
1.ヒトサイトカインレセプターとの相同性の比較:これまでの結果からある種の歯周病原性細菌が炎症性サイトカインと結合している可能性が示唆されたので、細菌表層に存在するサイトカインレセプターがヒトサイトカインレセプターと相同性があるか否かを遺伝子レベルで検討した。Log phase状態にある菌体からゲノムDNAを抽出し、ヒトIL-1R(I),(II)及びIL-6レセプター特異的プライマーを用いてPCRによりDNAの増幅を行った。IL-R(I),(II)の発現はActinobacillusにのみ認められ、その他のPorphyromonas,Prevotella,Fusobacterium及びCapnocytophagaでは発現は認められなかった。一方、IL-6の発現はいずれの供試菌においても認められなかった。 細菌に対するオートクリン機構の検討:レセプターを有する細菌がIL-1又はIL-6様生理活性物質を産生しているか否かを検討する目的で細菌培養液中のIL-1α,β及びIL-6活性を測定した。IL-1αの産生はFusobacteriumとCapnocytophagaで僅かに認められたがその値は有意でなかった。IL-1βの産生はすべての供試菌に微量の検出が認められ、中でもActinobacillusは高い値を示した。IL-6の産生はすべての供試菌で認められなかった。 以上の結果をまとめると歯周病原性細菌の中でもActinobacillus属はIL-1α,β及びIL-6の添加で発育が促進し、更にIL-1α,β及びIL-6と結合した。また、その細胞表層にIL-1Rを発現し、更にIL-1βを産生している可能性が示唆された。それ故、ActinobacillusやFusobacterium等の歯周病原性細菌が歯周組織細胞を刺激してIL-1をより高率に分泌させ、分泌されたIL-1を利用して細菌が更に増殖し再びIL-1の産生を誘導するという新しい調節機構が一部証明されたことになる。今後、レセプターの所在、構造を明らかにすることで上記の仮説の裏付けを行う。
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