1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671646
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
樋口 裕一 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (10181083)
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Keywords | ストレス / 顎関節 / SDラット / コラーゲン線維 / グリコサミノグリカン |
Research Abstract |
精神的ストレスが顎関節に悪影響を及ぼすことは古くから言われているが、それを証明した研究や作用機序についての報告はほとんどなく、特にストレスと顎関節構成成分の大部分を占めるコラーゲン線維やグリコサミノグリカンとの関係については、全く解明されていない。これらの構成成分は顎関節において機械的刺激に抵抗させ、顎運動をスムーズに行わせる重要な働きをする。平成5年度ではSDラットに拘束ストレスを与え、顎関節の組織学的変化を生化学的ならびに免疫組織学的に検索してきた。その結果、ラット顎関節の細胞外マトリックスの基本的な構成は、1.関節円板、下顎頭表層および骨組織にI型コラーゲンがみられ、軟骨部ではII型コラーゲンがみられた。2.コラーゲン量は加齢にともなって増加した。3.下顎頭表層にデルマタン硫酸が、下層にコンドロイチン硫酸とケラタン硫酸が多くみられた。4.加齢にともなってヒアルロン酸とコンドロイチン硫酸が減少し、デルマタン硫酸とケラタン硫酸が増加した。拘束ストレスラットは、正常ラットに比べ、基本的な細胞外マトリックスの構成はほぼ同じであったが、コラーゲン線維とグリコサミノグリカンの全体量が減少していた。特に関節円板と下顎頭表層における質的変化が明らかに認められた。これらの変化は、拘束ストレスが顎関節に緊張を発生させ、異常な機械的刺激となって顎関節に伝わり、細胞外マトリックスの破壊に発展した結果によると考えられる。またその破壊は、機械的刺激が集中する関節円板や下顎頭表層に強くあらわれていると考えられる。ただし、拘束ストレスラット群の体重が正常ラット群に比べ5〜10%減少していた。ただし、拘束ストレスによって生じたものか、あるいは、拘束時間が長いために飼料の摂取時間が短いことによるものなのか、今後検討を要する。
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