1993 Fiscal Year Annual Research Report
老人と若者の生活行動における身体機能・意識・行動・かかわる物の統合的研究
Project/Area Number |
05680009
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
富田 守 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (00009135)
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Keywords | 心拍 / 血圧 / 動作 / 生活行動 / 身体生理機能 / 作業的行動 / 意識状態 |
Research Abstract |
家政学の重要課題である生活の統合的把握の試みとして、生活する主体である人間を中心に、人間の意識、身体生理機能、行動や動作、かかわる物的なもののすべてについて人間と環境との相互作用を統一的、構造的にとらえることを目的とした。また、青年と老年との比較により年齢特性も明らかにしたい。本研究においては2種のことなる意識状態を設定した。余裕ある気持の時と急ぐ気持の時である。それぞれの意識状態において、卵焼作りと味噌汁作りの作業的生活行動を行わせ、その際の心拍、血圧の測定、ビデオによる行動・動作やかかわる物の観察と時間測定を行った。被験者は20代の青年女子3名および60代老年女子1名である。今後更に被験者数をふやす予定である。また、行動としては余暇的行動や生理的行動も調べたいと考えている。しかし余暇的行動を急いでやることが少いことや、被験者が生理的行動を調べられることを嫌うことなど、多くの困難があることもわかった。従ってどうしても作業的行動が主になった。結果は次の通りである。心拍、血圧については変化は小さく、軽作業の特徴を示したが、一遇性の変動はあるようである。意識の影響はあまりなかった。行動と物については意識の差、年齢の差が観察された。すなわち、材料を切る際、青年では急ぐ時に省力化の行動変化と動作速度の増加がみられたが、老年では自分のペースを守り、変化がみられなかった。作業手順については、青年は急ぐ時、2種の作業の同時並行性を強化するが、老年では意識に応じて異なる手順を行った。味見回数も余裕ある時のほうが多かった。移動について、余裕ある時のほうが物をとりにいく回数が多く、急ぐ時はまとめて運ぶ傾向がみられた。洗いものについては、余裕ある時は火を使っている時に洗いものはあまり行わないが、急ぐ時には火を使いながら使用済の器物を洗ったり片づけたりする行動がみられた。
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