1993 Fiscal Year Annual Research Report
重量法と湿度勾配法とを併用した拡散則による布固有の透湿係数の測定
Project/Area Number |
05680027
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鈴木 淳 長崎大学, 教育学部, 教授 (90112367)
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Keywords | カップ法 / 重量法 / 湿度勾配法 / 透湿係数 / 水蒸気拡散係数 / 透湿速度 / 透湿抵抗 / 拡散式 |
Research Abstract |
カップ法に準拠した電子天秤による布の透湿速度とその試料上の拡散層の中心点の湿度とを同時測定し、カップ内、試料中、試料上の拡散層のそれぞれに拡散式を当てはめ、その連立方程式を解くことにより、布固有の透湿係数を測定する。本研究課題では、その測定上の問題点についてより厳密な検討を加えることとした。まず、試料上の拡散層の同一水平面の湿度がほぼ一定として扱えるカップの大きさの最小許容限界の径を求めた。その後、そのカップを用いて、空気中の水蒸気の拡散係数、および、布固有の透湿係数を主として市販ポリエステル地について求めた。得られた新たな知見は次のようである。測定は、セパレート形電子天秤、径が異なる一連のカップ、微小温湿度素子などを駆使し、自然環境下で行った。 1.布で覆わないときの定常状態における蒸発速度の蒸発面積依存性から、上述のカップの大きさの最小許容限界はほぼ18cmphi未満であった。このとき、布を被覆したときのそれは、その径内にあるものと考える。2.空気中の水蒸気拡散係数について測定した結果は、文献の関係式の計算結果にほぼ近似した満足の行くものであった。3.カップ内の拡散層の大きさと試料上の拡散層の測定点はほぼ5mm内で測定可能であった。また、ポリエステルでは、系の平衡状態が1‐2時間で扱え、平衡後の短時間時における算出結果で透湿速度が示せた。4.厚さがほぼ0.07‐0.7mm、含気率がほぼ45‐66%のポリエステルタフタとモスリンで、布固有の拡散係数はほぼ2×10^<-3>‐15×10^<-3>m^2/hであった。それは、系の全透湿抵抗のほぼ1‐2割程度であった。また、測定平衡時の拡散層の測定点などの距離は時間や水分によって気持ち影響されるので、補正も考慮する。5.親水性の綿素材では、吸湿によって布が伸長を生じ、試料面が大きくたるむので、布のセットに工夫が必要であり、今後の課題である。
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