Research Abstract |
平成5年度は品種,収穫年度,炊飯条件(沸騰時間,蒸らし時間など)の異なる米飯を-20℃で冷凍保存し,1カ月,3カ月後にそれぞれ電子レンジで解凍し,その性状の比較検討を行った。試料の米は(1)1988年新潟県産コシヒカリ,(2)1991年新潟県産コシヒカリ,(3)1991年北海道産ゆきひかりの三種であり,品種の違いは(2),(3)で比較し,収穫年度の違いは(1),(2)の組合せで行った。炊飯条件は沸騰継続時間を10分と20分,蒸らし時間を5分と15分とし,それぞれを組み合わせて異なる条件の炊飯とした。測定した項目は加熱後30分間に蒸発する水分量,飯の水分含有率,レオロメーターによる飯粒ならびに飯塊の物性値の測定,飯粒横断面の顕微鏡による観察,官能検査である。 結果は次の通りである。 (1)1991年産コシヒカリと1988年産コシヒカリでは,殆どの項目で炊飯直後と解凍直後の飯の性状が似ており,冷凍保存後解凍した米飯の性状変化は比較的少なく,収穫年度の違いが冷凍米飯に与える影響は大きくないものと思われた。しかし,官能検査では,いずれも冷凍後解凍した米飯は炊飯直後の飯に比べ有意に好まれなかった。 (2)蒸らし時間を5分にしたコシヒカリ20-5,沸騰継続時間を10分にしたコシヒカリ10-15,ゆきひかりなどは測定した殆どの項目で傾向で同じにしており,冷凍後解凍した米飯から30分間に蒸発する水分量は多く,かたさの変化が大きく,ムラの多い出来上りとなり,凝集性は小さく,はりのない状態であり,飯粒横断面表層部は崩れの少ない状態であった。品種,炊飯条件が良好でない米飯の場合は,冷凍保存後解凍した飯の品質の低下が著しいことが各測定結果において示され,官能検査においても有意に好まれなかった。
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