1993 Fiscal Year Annual Research Report
1920年代〜30年代の量子力学と固体物理学とに関する比較研究
Project/Area Number |
05680059
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
今野 宏 横浜国立大学, 工学部, 助手 (30017785)
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Keywords | 物理学史 / 量子力学 / 磁性物理学 / 電子スピン |
Research Abstract |
本年度の研究計画にしたがって、資料の収集をおこなった。 1)東北大学金属材料研究所の創立当時(1922)量子論の建設期に当たって、同研究所が、いかに量子論を吸収しつつ金属物性論を発展させたかを研究するため、同研究所の、初期における文献収集の実態を調査した。その結果、同研究所が旺盛に量子物理学を吸収していた様子が明らかになった。例えば、M.Bornの編纂したStructure der Materie(のちにStructur und Eigenshaften der Materieと改題)の第1巻はE.Back und A.LandeによるZeemaneffekt und Maltiplettstrukture und Spektrallinienと題され、むしろ量子力学建設に直接関わる部分の多いのであるが、発行された年(1925)にいち早く受け入れている。 2)Edmund C.Stonerにおける磁性物理学への量子論の受容過程。Stenerは量子論に基づいた磁性物理学の体系を創出しようとした草分の一人である。彼は1926年にMagnetism and Atomic Structureと題する本を著わしている。その前書きで彼は、量子論が巳だ目立たぬ、不完全なものであるが、今後の磁性物理の発展により、強力なものとなるであろう、と述べている。彼はその後、1934年、今度はMagnetizm and Matterと題して出版した。彼は、前の出版の直後に電子スピンの仮説が出て、量子力学も飛躍的に進歩し、次々に提出される新しい磁性を説明できるようになったので、書き直す必要があった、と説明している。したがって、これら2つの著者の比較研究は、当時の量子力学と磁性物理学の進歩、およびそれらの結び付きについて重要な知見を与えることが予想される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hiroshi Konno et al.: "Magnetic Resonance on Cr_2Te_3." Japanese Journal of Applied Physics.32. 308-310 (1993)
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[Publications] 植村美佐子,他18名: "科学年表-知の5000年史-" 丸善株式会社, 580 (1993)