1993 Fiscal Year Annual Research Report
教科構造再構築のための史的研究【.encircled1.】-手工・工作・工芸ならびに技術の教育
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05680197
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
宮脇 理 佐賀大学, 教育学部, 教授 (40093710)
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Keywords | 教科構造再構築 / ウノ・シグネウス / 手工科 / 共同体的感性 / ものづくり教育 / 手渡すシステム / スロイド / 芸術の教育 |
Research Abstract |
1.明治19年に制度化された「手工科」は、その起源において共同体的感性、方法をもつと同時に経済主義を併せ具えていたがために、この分野の教育は常に両者の葛藤によって本質をめぐる論議がなされてきた。また本来なら「手渡す教育」から純正なデザイン教育(計画の論理・量産・間接性)へ移行するはずのものが、デザインと生活の表層のレベルでの結合が反発をまねき、造形教育分野の最大の領域である絵画による教育の優先を相対的に温存、拡大化させてきた。これについての思考の逆転を研究の中軸に置いた。 日本に移入されたものづくり教育(フィンランド:ウノ・シグネウスによる)の本来の意図には、産業構造の急変革と影響によって手渡すサイクルが崩壊し、同時にそれは児童・青年の人格形成にまで及んだことの打開のために、初源的なものづくり文化(Sloyd)を教育の手段とすることを草案したものであり、またその方向で工作・工芸教育の骨格は潜在化されつつも引き継がれてきた。本研究の再認識は、手渡すシステムと「量産」のシステムの差異を意識しつつ両者の連結を行い、質の高い「もの」づくりの教育をあらためてモデルし、構造化しようとする展望を常に根底に置き研究を進めてきた。 3.東京師範学校・東京高等師範学校と連なる系譜を軸とし、ついで教育制度に関わる美術教育史、研究の基礎的な枠組みを提示し、これと連動、相関する技術教育史を重ねた。 4.本研究の過程で実施された資料収集と分類整理は、関係データベース化の基礎研究と位置づけ、明治初期から昭和初期までの手工・工作教科書、同教援書、同指導書、技法手引書について、筑波大学に所蔵の資料ならびに各地の図書館の蔵書カードから得られる書誌事項をまとめてデータベース化を試みつつある。
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Research Products
(2 results)