1993 Fiscal Year Annual Research Report
生物試料固定液廃液中のオスミウムの分析と処理に関する研究
Project/Area Number |
05680474
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
江見 清次郎 北海道大学, 工学部, 助手 (80111152)
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Keywords | 生物試料固定 / 廃液 / オスミウム / 分析 / 蒸留分離 / 吸光光度法 / 1,5-ジフェニルカルボノヒドラジド / 処理 |
Research Abstract |
1.オスミウム(Os)の定量について我々はこれまでチオ尿素を発色剤とする紫外-可視吸光光度法を開発したが,この方法は感度が低いという難点があるため,感度の高い発色剤を見出すため種々の試薬について実験を行い,1,5-ジフェニルカルボノヒドラジド(以下DPCIと呼ぶ)が適当であることを見出した。 2.本定量法は,Osを含む検水を酸化剤を加えて蒸留し,発生する四酸化オスミウムを吸収液に吸収させ,その吸収液の吸光度を測定することにより定量を行う方法である。吸収液には,DPCI溶液を用いた。 3.Os-DPCI錯体の吸収曲線を波長260-400nmで測定し,最大の吸収は305nmで起こることが明らかとなった。この結果よりモル吸光係数を求めると2.25×10^4lmol^<-1>cm^<-1>となり,チオ尿素の場合に比して約6倍感度が向上している。 4.Os20μgから200μgの範囲で検量線を作成したところ原点を通る直線となった。 5.Os-DPCI錯体の発色に対するpHの影響を調べたところ,pHが高くなるに従い吸光度が徐々に減少することがわかった。しかし低pHでは再現性が悪く,pH1.2での定量が適当であると判断した。 6.本錯体の発色は,温度20℃から30℃の間で一定であった。また,発色は30m:nまでは急激に増大するが1h以降ではほとんど一定となった。 7.廃液中にFe^<2+>,Fe^<3+>,Fe(CN)_6^<3->,パラホルムアルデヒドを共存させると,蒸留を行わない場合定量を妨害するが,蒸留により妨害を防ぐことが出来た。しかし,エタノールが多量に共存するとき,蒸留のさい定量を妨害することがわかり,前処理などの何らかの対策が必要である。 8.いくつかの実廃液についてOsの定量を行い,本方法によってOsの定量が出来ることが明らかとなった。
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