1994 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性スクラーゼ活性欠損小腸スクラーゼ・イソマルターゼ複合体の生合成経路の解析
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05680545
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
武居 能樹 岐阜大学, 教養部, 教授 (50023651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 銑一 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60023660)
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Keywords | スンクス / 小腸 / 刷子縁膜 / スクラーゼ / イソマルターゼ / マルターゼ / 二糖類水解酵素 |
Research Abstract |
1。タンパク質の生合成経路の免疫形態学的追跡では、特に抗原が膜結合性の場合、単離抗原とだけでなく、膜結合状態の抗原とも用いる抗体の反応性を予め確認しておく必要がある。この点で、スンクスのスクラーゼ・イソマルターゼ複合体は要注意であることが分かった。即ち、ウサギの複合体に対するヤギ抗体(抗ウサギ抗体)はスンクスの精製複合体を凝集させ、また、そのイソマルターゼ活性を阻害した。ところが、この抗体はスンクスの単離刷子縁膜を殆ど凝集させることができず、また、そのイソマルターゼ活性を阻害することもできなかった。精製スンクス酵素に対してウサギで作成した抗体(抗スンクス抗体)も精製酵素を完全に沈降させ得るにも拘わらず、単離刷子縁膜小胞は不完全にしか凝集させ得なかった。これらの結果は、スンクスでは刷子縁膜上の複合体とその抗体との反対には何らかの立体障害が存在することを示唆している。刷子縁膜到達前でも膜結合状態の複合体は抗体と(部分的にしか)反応しない可能性が高い。この問題を解決することが抗原の免疫形態学的追跡には必要である。 2。スクラーゼに関して遺伝学的にホモであるスンクスからの精製複合体に抗スンクス抗体を作用させると、当然ながら、スクラーゼ活性とイソマルターゼ活性が同じパターンで沈降した。スクラーゼに関してヘテロであるスンクスからの単離刷子縁膜の抗スンクス抗体による凝集でも、両活性の沈降曲線は同じであった。しかし、この刷子縁膜の界面活性剤可溶化標品では両活性は違った沈降曲線を示した。これらの結果は、ヘテロのスンクスでは、スクラーゼ・イソマルターゼ複合体とスクラーゼなしのイソマルターゼとが同じ微じゅう毛に存在すること、即ち、同じ細胞内で両者が合成され、刷子縁膜に輸送されることを示している。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 武居,能樹、武居,幸子、織田,銑一、横田,邦夫: "スンクス小腸からの正常スクラーゼ・イソマルターゼの精製とその性質、特にその基質特異性について" 生化学. 66. 1050 (1994)