1993 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体ATP合成酵素CF_0CF_1の基質結合部位の高次構造変化と触媒活性
Project/Area Number |
05680562
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高木 みづほ 帝京大学, 薬学部, 助手 (00112764)
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Keywords | 葉緑体ATP合成酵素 / betaサブユニット / リシン残基 / 高次構造変化 / ピリドキサールリン酸 / ATP結合部位 / ADP結合部位 / リン酸結合部位 |
Research Abstract |
葉緑体チラコイド膜を光照射すると膜内外のDELTAmuH^+の形成に伴ってチラコイド膜上のCF_0CF_1は活性化されATP合成およびATP加水分解活性を示すようになる。このときCF_1のepsilonサブユニット上では高次構造上の変化が起こっておりLys-109のピリドキサールリン酸(PLP)に対する反応性が大きく変化することを筆者は先に見い出した。ところで触媒活性部位はbetaサブユニット上にありATP合成活性あるいはATP加水分解活性の変化を引き起こすためにはbetaサブユニット上でも高次構造変化が起こっていなければならない。本年度はbetaサブユニット上のリシン残基のPLPに対する反応性の変化を調べることによりエネルギー状態の変化、基質の存否がどのようにbetaサブユニットの高次構造に影響を与えているのかを調べ以下の結果を得た。 betaサブユニットには21個のリシン残基が含まれているがこのうちLys-154,167,178を含むペプチド(G-p),Lys-191,Lys-317,Lys-399,Lys-447はエネルギー状態により、あるいは基質の存否によりその反応性を変えていることがわかった。 G-p:光照射下で反応性は20%低下する。エネルギー状態にかかわらず基質の存在は反応性を低下させる(0.5mM ADPで70%,0.5mM ATPで40%,5mM Piで30%反応性が低下)。 Lys-191:光照射下では暗所に比べ約20%反応性が増大する。基質の存否は反応性に影響を与えない。 Lys-317:光照射下で反応性は10%低下する。暗所ではADP,ATP,Piともに10%程度反応性を低下させるが光照射下ではADPの存在は反応性を25%増大させる。 Lys-399:光照射下で反応性は30%低下する。エネルギー状態にかかわらずADP,ATP,Piは各々15%程度反応性を低下させる。ADPとPiが共存すると30%まで低下する。 Lys-447:基質を添加していない場合にはエネルギー状態に依存した反応性の変化は見られない。暗所ではADP,ATP,Piは各々30%,20%,10%反応性を低下させるが光照射下ではその効果はより顕著となる(ADPで40%,ATPで30%,Piで20%低下)。 結論;エネルギー状態に応じてbetaサブユニットのG-ペプチド,Lys-191,Lys-317,Lys-399の近傍では高次構造が変化しておりこれらリシン残基のPLPの反応性も変化する。基質の結合部位はG-ペプチド上に存在する。Lys-317,Lys-399,Lys-447もこの活性中心の近傍に位置する。
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Research Products
(1 results)