1994 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体ATP合成酵素CF_0CF_1の基質結合部位の高次構造変化と触媒活性
Project/Area Number |
05680562
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Research Institution | TEIKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高木 みづほ 帝京大学, 薬学部, 助手 (00112764)
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Keywords | 葉緑体 / ATP合成酵素 / ATP合成酵素βサブユニット / リシン残基 / ピリドキサールリン酸 / 高次構造 / エネルギー化 / ADP |
Research Abstract |
葉緑体ATP合成酵素CF_0CF_1は光照射により形成されるチラコイド膜内外のΔμ_<H+>を利用してADPとPiからATPを合成する。CF_1はα_3β_3γδεの9つのサブユニットから構成されており触媒活性を持つ基質結合部位はβサブユニット上にある。ATP合成反応の機構を理解するためにはβサブユニット上のどの領域がΔμ_<H+>に対してあるいは基質の結合に対して感応するのかを明らかにする必要がある。ここではそのような領域をピリドキサールリン酸(PLP)に対するβサブユニットのリシン残基の反応性を調べることにより探した。もしLysXの周りの高次構造がΔμ_<H+>あるいは基質の結合によって変化するとLysXのPLPとの反応性も変化すると期待される。Lys154,167,P-ループ(GGAGVGK_<178>T)を含むP-ペプチド:N末端およびC末端ペプチドを除外するとP-ペプチドは特異的に高い反応性を示す。ADPの存在はその反応性を20%以下にまで低下させることから特異的に高い反応性を示すリシン残基は基質結合部位の中央に位置するLys178であると考えられる。Δμ_<H+>の形成は基質による阻害効果を高める。この結果はΔμ_<H+>の形成により基質結合部位の周りで基質に対する親和性が増大するような高次構造変化が起こっていることを示唆している。Lys447:Lys447の反応性は基質の結合により低下する。Lys447の三次構造上での位置から基質の触媒部位への結合がLys447の周りの高次構造を変えていると考えられる。Lys399:Lys399の反応性はチラコイド膜内外のΔμ_<H+>に依存して変化する。Δμ_<H+>が増大するとLys399の反応性は低下しΔμ_<H+>の低下に伴いLys399の反応性は高まる。Lys399がプロトンの移動と関わっているγサブユニットと相互作用しうるα-ヘリクス1の上に位置していることは大変興味深い。
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Research Products
(1 results)