1993 Fiscal Year Annual Research Report
Genonic Imprintingを示すヒト先天異常の動物モデルの開発:T^<hp>マウスの実験的研究
Project/Area Number |
05680738
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
宮原 晋一 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (90034644)
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Keywords | Genomic imprinting / T^<hp> マウス / 母性効果 / 動物モデル / 先天異常 |
Research Abstract |
1.雌親由来のT^<hp>/+胎仔の観察 (1)胎生末期まで生存可能な雌親由来のT^<hp>/+胎仔は、T^<hp>/+雄とC3H雌の交配によるF5のT^<hp>/+雌とC57BL/6雄の交配によって得られた。(2)これらの胎仔22匹の観察から、発育過剰が22例、全身の浮腫が15例、臍瘤と肝突出が3例、多指症が5例認められた。また、胸線低形成16例、心過形成22例、肺動脈幹低形成21例、大動脈弓部奇形6例が観察された。胎令19日のT^<hp>/+胎仔の心臓の組織学的な検索では、心室壁の肥厚と心筋線維の錯綜配列が観察された。(3)Bromodeoxyuridine標識による増殖率の比較では、T^<hp>/+胎仔の心筋細胞と肝細胞で、正常胎仔より高い値が得られた。2.出生可能な雌親由来のT^<hp>/+マウスの作製 (1)T^<hp>/+雌(F5)と純系化された野生マウス雄との交配から次のような結果が得られた。KJR雄との交配で39匹中20例、MOM雄との交配で15匹中5例、CAST/Ei雄との交配で15匹中2例、BLG雄との交配では12匹中1例、BFM雄との交配で24匹中0例のT^<hp>/+がそれぞれ出生した。(2)T^<hp>/+新生仔と正常新生仔との間に、明らかな体の大きさの差を認めなかった。KJR雄との交配によって生まれた20例のT^<hp>/+のうち、1ヶ月後に観察した2例で心肥大が認められたのみで、他の雄との交配からは心肥大は生じなかった。3.本年度の実験結果の総括 (1)胎生期のT^<hp>/+胎仔では発育過剰と内臓の肥大が起こる傾向がある。その原因としてなんらかの増殖因子がT^<hp>/+胎仔で異常に働いており、心臓では心筋症類似の病変を起こしたものと思われる。また、同じ因子の作用により心大血管奇形を生じたものと思われる。(2)野生マウス雄との交配で生後も生存可能なT^<hp>/+胎仔が生まれたが、胎生期に作用した増殖因子は、生後にはもはや働いていないか、あるいはimprintingを免れたものと思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Miyabara,S.: "Overgrowth and enlargecl heart in mouse fetuses with maternally inherited T^<hp> and t^<wLub2>:An example of gencmic imprirti〓〓 in animals." Congenital Anomalies. 33. 63-75 (1993)
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[Publications] Miyabara,S.(分担): "Inborn Heart Discase-Developmental Mechanisms" Markwald,RR,Clark,EB and Takao,A eds.Futura Press , New York, (1994)