1994 Fiscal Year Annual Research Report
困難な課題を的確に諦めることを妨げる諸要因の実験的検討
Project/Area Number |
05710076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 恵理子 東京大学, 文学部, 助手 (50234448)
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Keywords | 抑うつ / 自尊心 / 達成 |
Research Abstract |
<問題>できない課題を諦めることが出来ずに、過度に課題に固執すると、目標が達成されないために自尊心が低下したり、自信がなくなるなど望ましくない影響が生じることがある。この諦めを妨げる要因について、実験的に検討する。実験は、当初困難な課題を3種類設定する予定であったが、実験実施の制約上、成功確率の高さを変化させて困難度を操作した実験をおこなった。 <方法>被験者に認知的複雑性を測定するテストをする告げ、そのテストである程度の点数に達しなかった者は再度正確な測定のために面倒なテストを受ける必要があると告げた。このとき困難群の被験者にはほとんどの人は2つめのテストを受けているとし、容易群の被験者にはほとんどの人は2つめのテストを受けていないとした。認知的複雑性を測定するテストと称して図形置換課題をおこなった。例題を施行し、本試行の前に自分が2つめのテストを受けると思う確率などを尋ねた。その後本試行を3試行施行し、その後で2つめのテストを受けると思う確率や自分の成績の予測などを尋ねた。最後にデブリーフィングをして実験を終了した。 <結果>本試行の遂行を従属変数として難易度(困難・容易)×抑欝(軽度抑欝・非抑欝)および、(困難・容易)×自尊心(高・低)の分散分析をおこなったが、いずれの効果も有意にならなかった。また、予測に関しても同様の分散分析を行ったが、パーソナリティ変数の効果はみられず、課題の困難度の効果のみ有意で、困難群の方が容易群に比べて有意に自分の遂行の予測が低く、2回目のテストを受ける確率を高く予測していた。 <考察>今後は、困難度の操作を工夫し、統制不可能な課題を含めて再度パーソナリティ変数の効果との関係を詳細に検討していく必要がある。
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