1993 Fiscal Year Annual Research Report
老人福祉施設等における能力開発が業務遂行に与える効果の測定
Project/Area Number |
05710125
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
下山 昭夫 淑徳大学, 社会学部, 助教授 (60179017)
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Keywords | 老人福祉施設 / 能力開発 / 専門職 |
Research Abstract |
調査研究は、特別養護老人ホーム等の施設職員を対象としたアンケート調査、そしてアンケート調査の質問紙及び選択肢の作成、調査結果の分析・考察を深めるために実施したケーススタディの2つの方法により行なわれた。アンケート調査の回答者は187人であるが、そのうち女性が78.6%を占めている。特別養護老人ホーム勤務者が89.3%、また寮母・寮父が94.7%(うち女性は77.0%)である。今回の調査研究は、特別養護老人ホームに勤務する寮母が主体となっている。 業務を遂行するための知識・技術を「充分持っている」とする施設職員は4.3%にとどまっている。「ある程度持っている」は48.1%、「不足がちである」は50.3%である。だが、「全く不足している」とする回答が9.1%あった。現場施設職員の約1割が業務を遂行するための知識・技術が全く不足していると回答していることは看過できないものである。この点から、施設職員に対する能力開発の必要性が指摘できる。 施設職員自身が必要と考える知識・技術のなかで最も多かったのは、「老人介護の知識」55.6%、「老人の心理・精神保健」57.6%であり、次いで「老人介護の技術」45.5%である。要介護老人の介護に従事する施設職員は、当然ではあるが、老人介護に必要な知識・技術や老人(痴呆性老人を含め)の心理状態等の知識を求めている。だが、介護の専門職として、対人援助の基盤となる「ケースワーク・グループワーク等の対人援助技術」や「老人との関係づくりの技法」を挙げるものは少なかった。前者は23.0%、後者は20.9%にとどまっていた。 施設職員が参加を希望する能力開発の機会としては、「他の施設・機関での派遣研修・交流」が39.6%と多いのが特徴的であつた。集合形式や講演形式に対するニーズは多くはなく、能力開発のあり方が問われている。
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