1994 Fiscal Year Annual Research Report
日本人と外国人留学生との接触場面における異分化理解の発展に関する調査研究
Project/Area Number |
05710153
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
山本 直美 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助手 (40242333)
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Keywords | 異分化理解 / 異分化間コミュニケーション / 在日外国人留学生 / 日本人ホストファミリー / コクテクスト志向 / 言語志向 / 在日インドシナ難民 |
Research Abstract |
今回の研究では、在日外国人のホストとしての日本人の異分化接触場面に注目し、接触場面の一つとして、在日外国人留学生のホームステイの受け入れ場面をとりあげた。そして、ホストファミリーへのインタビュー調査を行うことによって、次の二点を示した。1.ホームステイの受け入れという異分化接触経験は、ホストに、異分化理解を促進する方向性での一種の「自己変革」をもたらすこと。具体的には、ホームステイの受け入れ経験の蓄積が、ホストのコミュニケーション形態を、コンテクスト志向型から言語志向型へと移行させる傾向があること(コンテクスト志向型とは、メッセージ伝達の際、明確な言語を用いず文脈-その場の状況、非言語行動など-に依存するコミュニケーション形態のこと)。2.ただし、ホームステイの受け入れの場合、「自己変革」の過程は、家庭という閉じられた空間内での孤独な試行錯誤であるため、「変革」の速度は比較的遅いこと。 さらに、今回の研究では、日本人と在日外国人との接触場面の全体像を把握するために、統計資料の収集、新聞記事の分析、国際交流関係団体での参与観察、調査票の配布などを行った。中でも、在日外国人留学生の場合と対比させる意味で、彼らと違って定住者でありかつ非エリート層であると思われる在日インドシナ難民との接触場面に注目した。その結果、次の三点を示し得た。1.留学生のホームステイの場合と異なり、インドシナ難民との接触では、個人的な(閉じられた空間内での)接触以前に(またはそれと平行して)、小集団(地域、難民支援団体等)の一員としての接触が存在する場合が多いこと。2.その際、小集団自体の「自己変革」として、接触内容の変容、多岐化が見られること。3.2.と平行して、小集団の構成員個人の「自己変革」が見られること。この場合、「変革」の速度は、小集団内の力学によって速められ得ること。
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