1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05740154
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 一也 東京工業大学, 理学部, 教務職員 (10251604)
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Keywords | 宇宙論 / 重力レンズ効果 / 相対論 / 特異点 |
Research Abstract |
本研究では、膨張宇宙におけるFutamaseのポスト・ニュートニアン近似の手法を用いて、宇宙膨張に対する大域的な非一様性による補正項を計算した。同時に、非一様性を特徴づけるパラメータに対する依存性を明らかにした。次に、非一様性を考慮した宇宙膨張の式を数値積分し、非一様膨張宇宙における銀河の距離-赤方偏移関係を計算し、標準的な観測的関係式を用いて宇宙論的パラメータの値を決定することに対する、非一様性の影響を明らかにした。その結果、非一様性の効果は、それらがつくる重力ポテンシャルの強さ程度であり、実際の宇宙における通常の観測の際には、非一様性の効果は無視できるほど小さいことが明らかになった。研究成果はYAMADA CONFERENCEにてポスター発表を行った。次に、局所的な非一様性による宇宙論的観測に対する影響を重力レンズ効果と解釈し、「重力レンズ効果とHigh Redshift Objects」のテーマで、基礎物理学研究所で、冨田憲二教授(基研宇治)と共同開催の小研究会を行った。参加者はおよそ30名である。研究会では観測的宇宙論における重力レンズ効果の役割、および最近の観測結果の紹介等について、12月7日より3日間、有意義な議論を行った。研究会の収録は現在作中である。 最後に、非一様性の発展を追う簡単なモデルとして、球対称時空を仮定し、非一様性の重力崩壊の様子を相対論に基づき調べた。特に時空の大域的因果構造に関しては、物質の圧力の効果で、ダストモデルでは高い頻度で現れた時空の裸の特異点に対し、宇宙検閲仮説が働く事を数値的に明らかにした。また、裸の特異点を持つ時空の安定性を、摂動の振舞いを調べることによって明らかにする研究が、現在引続き行われている。これらの研究成果の一部については、春の天文学会、秋の物理学会、及び研究会等で口頭発表を行った。また、研究成果を学術雑誌に発表する準備を現在すすめている。
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