1993 Fiscal Year Annual Research Report
ストリークカメラを用いた超音速ジェットピコ秒時間分解レーザー誘起螢光測定
Project/Area Number |
05740378
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
田原 太平 (財)神奈川科学技術アカデミー, 第1研究室, 研究員 (60217164)
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Keywords | ストリークカメラ / ピコ秒時間分解測定 / 超音速ジェット分光 / レーザー誘起螢光 |
Research Abstract |
本研究で、ストリークカメラを用いた超音速ジェットレーザー誘起蛍光時間分解測定システムを製作した。測定システムは基本的には研究室の保有するピコ秒レーザー、超音速ジェット用真空装置、およびストリークカメラを組み合わせることにより製作した。CWモード同期Nd:YAGレーザーをベースとする高繰り返しのピコ秒レーザーシステム(繰り返し2kHz、パルス幅約3ピコ秒)と組み合わせて用いるために、超音速ジェット噴流を生成するノズルとしてCWのものを製作する必要があった。そこで約100mumのオリフィスを持つパイレックスガラス製のCWノズルを製作した。このCWノズルを用いて押し圧2気圧で真空装置に試料ガスを導入した場合、チャンバー内の真空度は約2×10^<-4>torrであったが、これは超音速ジェットを生成するのに十分な真空度である。次にこのCWノズルを用い、ナノ秒のレーザーによってスチルベンのレーザー誘起蛍光スペクトルを測定し、十分に冷却された孤立分子が生成されることを確認した。以上の予備実験ののち、ピコ秒のレーザーで励起した超音速ジェット噴流中の分子からの蛍光をストリークカメラで測定することを試み、成功した。このような測定にストリークカメラを用いた例はこれまで報告されておらず、初めての試みであったが、本研究によってその有効性が明らかになった。一度に測定できる時間領域は狭くなるが、ストリークカメラを最高速度で掃引すると、約15-20ピコ秒の時間分解能が得られる。これは従来用いられている光電子増倍管による時間相関光子計数法の時間分解能をしのぐ。現在、この測定装置を使い、芳香族化合物最低励起一重項状態の各振電準位の蛍光寿命を詳細に調べており、励起状態の反応、および分子内振動再分配(IVR)についての新たな知見を得つつある。
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