1993 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物の微粒子化による表面酸塩基特性への影響に関する研究
Project/Area Number |
05740435
|
Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
中林 浩俊 高知工業高等専門学校, 工業化学科, 講師 (90180348)
|
Keywords | 金属酸化物微粒子 / アルコキシド加水分解法 / 固体酸塩基 / 微粒子化 |
Research Abstract |
金属酸化物として、主に酸化ジルコニウムを取り上げ、その粒子径と表面の酸塩基特性の関係について研究した。酸化ジルコニウムの調製は、ジルコニウムのアルコキシドであるジルコニウムn-ブトキシドを加水分解して、乾燥し得られた粉末を焼成することによって行った。この加水分解する時に、金属アルコキシドと水の比を変化させると、最終的に生成する酸化物の粒子径が、ある程度制御できることを確認した。粒子径の測定は、X線回折スペクトルから計算によって求めた。450℃で焼成した場合は、水/アルコキシド比の変化により、平均粒子径が75Aから183Aの範囲で変化した。また、それらの結晶構造は、全てcubicの単一相であった。さらに、600℃で焼成した場合についても検討した結果、結晶構造はmonoclinicに移転するが、450℃の場合と同様に添加水分量の変化によって酸化ジルコニウムの粒子径を制御できることがわかった。 cubic構造を有し、粒子径の異なる酸化ジルコニウムについて、指示薬法で酸強度と塩基強度を調べたところ、最も粒子径の小さい75Aでは、酸強度が-3.0で非常に強く、塩基強度についても+9.3の塩基の存在を確認した。しかし、粒子径が大きくなるに従い、酸強度は明らかに弱くなり、塩基の存在も観察できなくなった。これらの結果から、粒子径が小さいほど、その表面に存在する酸点や塩基点の強度が強くなることが判明した。さらに、これらの酸化物を触媒として、1-ブテンの異性化反応を行った。やはり、粒子径の小さいものほど活性が明らかに高く、酸化物表面の酸塩基特性が優れていることがわかった。 現在のところ、アンモニアの昇温脱離法を用いて酸量などの関係も測定中であり、また、市販のFT-IR装置を用いてin-situで実験するための設備も作製中である。これらの実験から、粒子径と表面の特性の関係についてさらに詳しく観察する予定である。
|