1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05740490
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和田 元 九州大学, 教養部, 助教授 (60167202)
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Keywords | 脂質 / 脂肪酸 / 生化学 / 不飽和化酵素 / ラン藻 |
Research Abstract |
高等植物やラン藻の脂肪酸不飽和化酵素は、生体膜を構成している膜脂質に結合した脂肪酸の不飽和化(二重結合を導入)を触媒し、生体膜の物理的性質(流動性など)の調節において重要な機能を担っている。本研究では、ラン藻Synechocystis PCC6803のDELTA12不飽和化酵素の生化学的性質を明らかにするために、同酵素の遺伝子(desA)を不飽和化酵素を全く持たない大腸菌に導入して同酵素を大量に合成させ、この大腸菌のホモジェネートを用いて同酵素の生化学的な解析を行った。また、この不飽和化酵素および同ラン藻のomega3不飽和化酵素の間で保存されているアミノ酸残基を部位特異的に変異させ、それらの変異のDELTA12不飽和化酵素の活性に及ぼす影響を調べ、同酵素の活性中心や鉄との結合部位などの同定も行った。以下にこれまでに得られた研究の成果を要約する。 1.この酵素は、活性発現のコファクターとして酸素および鉄イオンを要求することが明らかとなった。 2.DELTA12不飽和化酵素とomega3不飽和化酵素の間で保存されている5つのヒスチジン残基(DELTA12不飽和化酵素の90,109,129,287および290番目の残基)をアルギニンに変えると活性が全く無くなることから、これらのヒスチジン残基が活性発現において重要な機能を担っていることが明らかとなった。 3.上記のヒスチジン残基のうち109番目と287番目の残基は、鉄との結合に関与していることが示唆された。 4.99番目のアミノ酸残基であるリジンをグルタミン酸に変えると、フェレドキシンを電子供与体として用いた時の活性が無くなることから、このアミノ酸残基がフェレドキシンとの結合に関与していることが示唆された。
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